ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

通夜

 昨日は昔同じ会社で働いた学校の後輩の奥さんのお通夜だった。彼女もまた私と同じ職場で働いていた。3年ほど前に旅先でおなかが痛いといって、帰ってきた。検査をして内視鏡でも検査をしてみたら、すでに進行中の癌だったということだそうだ。
 どうやらかなり進んでいたんだそうだ。それでも戸塚の家から調子が良いと、三浦半島や横浜へ遊びに行ったそうだ。癌だったという割には痩せては来なかったようだ。市営の斎場だったのだけれど、花の飾りの前に棺が置かれていて、誰でもが、そばに行って顔を見ることができるようにしてあり、焼香場所はあるのだけれど、お坊さんが経を読むわけでもなく、その代わりにキーボードの前に女性が一人座っていて、時折クラッシックの旋律を奏でるかと思うと、CDプレイヤーからは生前彼女が好きだったという歌が流れていて、花飾りの前にモニターが置いてあって生前の彼女の写真が次々に映し出されていた。
 旦那さんに言われるまでもなく、来てくれた人たちと充分に話はできるし、こういうやり方ははなはだ良いんじゃないかと思う。但し、宗教に関心がない場合だけれど。

だめだ、こりゃ!

政治資金でベビー用品や化粧品、著名デザイナーズブランドまで−−。小渕優子経済産業相資金管理団体は政治活動との関係が薄いとみられる領収書を添付し、政治資金として計上していた。不適切・不透明な支出は、実姉の夫が経営する服飾雑貨店への支出分を含めると、2012年までの5年間で1000万円を超えている。【杉本修作】毎日新聞 2014年10月16日 東京朝刊

群馬県内の「小渕優子後援会」の政治資金収支報告書によると、同団体は2010年と2011年、東京都中央区の「明治座」で支援者向けの観劇会を開き、計約1700万円を支出し、観劇料として計約740万円の収入を記載。差額を団体が負担した可能性があり、有権者への利益供与を禁じる公職選挙法に抵触する疑い(毎日新聞 2014年10月16日 東京夕刊)

 あまりにもお粗末で、あまりにも国民を舐めきっていて、涙チョチョ切れる。いい加減にしろ!多分多くの議員がこれと大差のないことをしているのではないだろうか。こんな観劇会のような行事を実施している議員は多分相当数いるだろう。それでおかしいと思わない「後援会」なるものの存在それ自体が間違っている。どう言い逃れをするのだろう。

特別

 病院に来院する高齢男子の行動について書かれたものを読んで驚いた。簡単にぶち切れる高齢男子患者が頻繁に報告されるというのだ。そういえば鉄道の駅やホテルのフロントなんかで怒鳴る爺というのが結構報告されることがある。
 それまで自分が生きてきた階層社会から放り出されて、ただの一人の老人となった存在に気がつくことなく、その悲哀を受け入れられない。平等な扱いというものが我慢ならんらしい。時としてお婆さんの中にもそんな人がいないわけじゃないけれど、その圧倒的多数は爺さんだ。だから、ある種の特別扱いが実施されると簡単に解決がつく。
 昨日松井久子監督から教わった逸話。あるグループホームで女性の利用者は全く屈託なく溶け込むのだけれど、男性がそうできない。なんといって自分を紹介して良いかわからない。そこで男性に「係」を作って、その係名を明記した名刺を作ってあげたのだそうだ。すると男性は嬉々としてその名刺を提示して入っていくようになったという。笑うに笑えない。自分もそれに近いかもしれないという恐れを抱く。
 退職後、当時の職場の上司部下で集まる会というのが良く開かれているようで、平日の昼間、銀座や新宿のあたりを歩いていると、おそらくそんな会の帰りだろうと覚しき高齢男子グループに遭遇する。グループの中にいればかつてのヒエラルキーはそのまま持続されるから安心この上ない。初対面の人たちの中では俄にその位置関係は確立されない。ま、考えられるとしたらまずは年齢しきゃない。
 世の中には金で買えるものばかりじゃない。どうしても金で買えないものもあるということをとっくに忘れてしまっている。
 こんな爺さんの中には、セックス・ハラスメントとなる行為にどうしても気がつけない人も多い。それはどうしてなのか。彼らは自分から「こんなのはセクハラでも何でもない」という。発言する、行動する側の判断によって規定できてしまうと思っていること自体に驚かざるをえないけれど、それは何もセクハラ発言・行動に限らない。その延長線上にヘイト・スピーチや差別発言や行動もあると思う。なによりもその感性が愚劣だ。理性も知性もない。彼らの心の中には「俺は特別」という意識が明確に、あるいは隠れて存在している。

松井久子監督

レオニー [DVD]

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折り梅 [DVD]

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ユキエ [DVD]

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 ドウス昌代の「イサム・ノグチ」を下敷きにした映画「レオニー」、認知症を描いた映画「折れ梅」の松井久子監督とお目にかかるチャンスがあって、なんと彼女の処女作「ユキエ」のDVDを譲っていただくことが出来た。
 この映画の原案は𠮷目木晴彦の1993年上半期芥川賞受賞作「寂寥郊野」で、私はこの小説を立川の社会福祉法人至誠ホームのホーム長でかつて母校で教鞭を執っておられた橋本正明先生から2000年頃に教えていただいた。戦後連合国による占領中に米国人兵士と結婚して米国に移住したいわゆる「戦争花嫁」の女性が高齢期に入って認知症を病み、獲得言語を失って呻吟する話である。私がどうしてこの映画の存在を橋本先生から原作を紹介されるまで知らなかったのか不思議でしょうがなかったのだけれど、松井監督からこの映画が公開されたのが1998年の2月だったとお伺いして、納得が出来た。当時私は日本にいなかったのだ。
 このブログにも随分書いているけれど、私が戦争花嫁に気がついたのは戦争花嫁として戦後豪州にやってきた女性に関する著書に巡り会ったことがきっかけで、それは遠藤雅子が書いた「チェリー・パーカーの熱い冬」という本だった。その後キャンベラの戦争記念館の田村恵子さんの発表をお伺いしたり、ブレア・照子さんのお話をお伺いしたりすることが出来たのだけれど、松井監督もこの方たちをご存じだった。
 今度は「何を怖れる フェミニズムを生きた女たち」というタイトルのドキュメンタリー映画を完成し、同じタイトルの本も今日発売という。樋口恵子、上野千鶴子田中美津といった錚々たるメンバーである。
映画についてはこちら。→http://feminism-documentary.com/
田中美津:1943年東京生まれ。1970年代のウーマンリブ運動の伝説的な指導者、社会学者の上野千鶴子が私淑する人物
米津知子:1948年東京生まれ。1970年代のウーマンリブ運動に参加して優生保護法の問題を知り、以来、女の運動の中から取り組んでいる。
滝石典子:1952年東京生まれ。リブ新宿センターの参加団体の1つ「東京こむうぬ」に参加
井上輝子:1942年生まれ。1970年代初頭のウーマンリブ運動に参加する中で女性学と出会い、1974年から和光大学で女性学講座を担当。
上野千鶴子:1948年富山県生まれ。京都大院社会学。元東大院人文社会系研究科教授・女性学、ジェンダー。近年は高齢者の介護問題。
樋口恵子:1932年 東京生まれ。東京家政大学名誉教授
加納実紀代:1940年生まれ。3年前まで敬和学園大。現在フリーで女性史・ジェンダー史を研究。
池田恵理子:1950年 東京生まれ。NHK。現在、アクティブミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」館長
高里鈴代:1940年台湾生まれ。東京都女性相談センターで電話相談員、那覇市婦人相談員を経て、1989年から2004年まで4期15年那覇市議会議員。現在、「強姦救援センター・沖縄」代表。
中西豊子:1933年 京都市生まれ。ウイメンズブックストア松香堂設立。フェミニズムネット企画設立。NPO法人ウイメンズ アクション ネットワークを仲間たちと創設。
田中喜美子:1930年東京生まれ。1976年、隔月刊投稿誌「わいふ」(1962年兵庫県で創刊。同人200人)の編集を受け継ぎ、同人5000人にまで育てあげる。平行して単行本の企画・編集を業とし、同人のなかから数多くのライターを育成。
桜井陽子:1947年生まれ。1979年女性4人の編集プロダクション「グループ・エス・アール」設立。内閣府男女共同参画局専門調査会委員。世田谷区立男女共同参画センター館長。

2014年10月15日のツイート