ほぼ足りてまだ欲 その先

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松村(高橋)たね

 「日米交換船」(新潮社2006)の終わりあたりで鶴見俊輔が三人の女性(松村たね、武田清子、鶴見和子)に聞いた話を掲載している。松村たねは鶴見俊輔より5歳上なので19歳だった鶴見からすると遥かに年長だったので、話をしたことがなく、これが初めてだったという。その中で松村たねがこんなことをいっている。

 ペンシルヴェニア・ホテルを出る時、書物と、自分の書いたものが、検査官に取り上げられて、「これは、あなたが日本に持って帰ると困ることになるから、預かっておく、あとで返します」といわれた。戦争が終わって、しばらくしてから、それらはほんとうに返されてきた。一方、浅間丸に乗ってから書いていた日記は、どこでとられたのか、なくなっている。日本は、戦争が終わっても、それを返さなかった。(「日米交換船」新潮社 2006 P.459)