ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

破綻しているというべき

 昨年末の新聞記事で今更というところかもしれないが、asahi.comの2007.12.25で外国人の研修・実習についての記事があった。これによると研修・実習生は現在16万人。商工会や中小企業団体などが受け入れ機関になっているが法務省が2006年に「不正行為があった」と認定した機関は229機関と過去最多にのぼるそうだ。研修・実習先から逃げてしまう研修・実習生も増加していて、2006年にはは2201人にのぼるそうだ。これは即「不法滞在」ということになる。外国人犯罪者のカテゴリーには不法滞在者も含まれるから、これがそのままそっちにも数字が加算されてしまう。
読売新聞(2007年12月28日3時3分)によれば、「過去5年間に外国人研修・技能実習制度を利用して入国したのは37万4875人で、このうち9607人にのぼる失跡者のうち警察に捜索届が出されていないのは、2006年までの5年間に4628人に上る」というのである。法務省省入国在留課は「受け入れ企業などに、警察にも通報するよう伝えてきたつもりだった。届けないケースがこんなにあるとは思わなかった」という。
 法務省はこうした問題の解消のために、「労働力不足の解消」をうたい文句にしてはならない、ブローカーに「丸投げ」してはならない、法外な保証金を取ってはならないとはっきりさせ、受け入れ機関に「失踪防止」を理由に宿舎からの外出を禁止する、希望の有無にかかわらず旅券や通帳を預かる、所定時間以外の作業を強要する――ことなどを不正行為として指針に明記するというのである。
 これだけ問題が大きくなっていて、誰もが「研修・実習」ビザなんて外国人労働者導入のための隠れ蓑なんだと認識しているというのに1999年以来全く改善も何もなく、今度も実状の再認識を確認しただけかの如き対応。もうこの制度そのものが破綻していることは火を見るよりも明らか。この制度なくして中小の加工産業は成り立たないといわれている。外国人労働者をあたかも前近代社会と同様の状況に置かないと成り立たない社会は既に破綻している。これはそのまま前年度比26%増の321万人(2006年度)となった派遣労働者についてもあてはまる。霞ヶ関はいつでも「まず調査して」というのだけれど、じゃ、日頃は何をやっているのか、といいたい。