ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

八重洲ブックセンター

 昼飯を食ってからブックセンターに行った。目当ては昨日空振りした本を確保するのが主目的である。

  • 「若い人に語る 戦争と日本人」(保坂正康著 ちくまプリマー新書 2008.7):文字通り「若い人」を対象に書いているよう(ルビが振ってあったりする)ではあるけれど、総括的に保坂の考えをとらえるのにはふさわしいかも知れない。彼は以前に立教大学等で学生を対象に授業をもって話したことがあると聞いているが、レポートの中で何人かの学生が祖父母から聞いた戦争体験を綴ってきたといっている。学生たちの真摯な姿勢と彼らとの連帯感がこの書を書かせたといって良いとしている。実は彼が学生を対象に話さなくなったのは嫌な思いがあったのだろうかと勘ぐっていたので、なんだかほっとした。なお、彼は北海道、八雲の出身である。
  • 「『難死』の思想」小田実著 岩波現代文庫 2008.6:小田実が死んでから彼の旧作やらが出るが、これは1965年から1976年の7編の文を再録したものである。解説は小熊英二。開戦から三年経ったときに父親が「こんな負ける戦争をなんで始めたんだろう」といった時に、彼は腹を立て、『大東亜共栄圏の理想」をいい、「天皇陛下のために」というキマリ文句を叫んだ・・のだそうだ。

若い人に語る戦争と日本人 (ちくまプリマー新書)

若い人に語る戦争と日本人 (ちくまプリマー新書)

「難死」の思想 (岩波現代文庫)

「難死」の思想 (岩波現代文庫)

雑誌

  • 『世界 8月号 特集:生存のためにー地球市民は提言する」岩波書店
  • 「季刊at 12号 特集:有機農業は誰のものか」太田出版:有機農業というと高畠の星寛治さんを思い出す。
  • 「考える人 25号 特集:小説より奇なり!自伝、評伝、日記を読もう」新潮社:こんな雑誌が出ているのは知っていたが、季刊雑誌だったとは知らなかった。これまでの号では1号と12号が売り切れているのだそうだ。私は以前から外国の(といっても英国、豪州、米国しか知らない)本屋に行くと「biography」という棚が大量の書籍を従えて厳然と存在するのになぜ日本ではないのだろうかと不思議だった。そういう本を探そうとするときにいったい、どこに行けばよいのか迷う。ノンフィクションなんだろうなぁとは思うがノンフィクションたっていささか広いのだ。そして保坂正康の話を聞いているとますますこうしたものやライフストーリー研究のもの等を読みたくなる。そこへもってきてこんな特集だぞ!と見せられると買わないわけにはいかないのだ。商品開発者はそこに手を伸ばすであろう消費者の心をこうしてくすぐるわけだ。なにしろ表紙の写真には様々な人の伝記といえるようなもの(日本ではそれが日記で置き換えられるという)が並べてあり、その中には鶴見俊輔の「期待と回想」なんかがある。辻邦生の日記帳そのものが掲載されている。まめな人だ。彼は村松剛と違ってフランスから帰ってきたら大学の紛争の渦中に入り込んだようだ。あれは仏語科から始まったからなのだ。丸谷才一がインタビューに答えて『伝記はなぜイギリスで繁栄したか」を語っているが、実にこれが雰囲気でよい。「私の先の大地2」という連載らしいものの中に「ノーノーボーイ」という言葉が出てきてびっくりした。この連載はどんな話なんだろうか。やや、鶴見俊輔が漫画家・高野文子と対談なぞをしている。

考える人 2008年 08月号 [雑誌]

考える人 2008年 08月号 [雑誌]

  • 文藝春秋 SPECIAL 5号」半藤一利と保坂正康の対談、"指揮官たちの戦後"なるものが掲載されていると書いてあったので、不本意ながら購入。なるほど、この会社の雑誌にはこういう切り口で載る訳なのかと納得する。それにしてもまるで『桜ちゃんねる」のようなラインナップである。なるほど嶌信彦も入っている。もちろん佐藤愛子上坂冬子曾野綾子もいるのである。