ほぼ足りてまだ欲 その先

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平成20年版犯罪白書

 どうやら新聞記事によると法務省が「平成20年版犯罪白書」を発表したらしい。法務省のウェブサイトにはまだ公開されていない。
 各紙は65歳以上の高齢者の犯罪が増大していると書いている。

 交通関係を除く一般刑法犯で2007年に検挙された高齢者は、前年比4%増の4万8605人で統計を取り始めた1986年以降、最多。
 1988年に9888人だった高齢者の一般刑法犯での検挙者は2007年には約5倍に増え、この間の高齢者人口の増加率(約2倍)を大きく上回った。検挙者全体に占める割合も、2%から13%となった。
 内訳は、万引きが2万5854人で全体の53%を占めた。女性では、検挙者全体の82%が万引きによるものだった。次いで多かったのが、遺失物横領で22%となった。
 一方、2007年の刑法犯の認知件数は269万883件(前年比6%減)で、戦後最多だった2002年から5年連続で減少している。(2008年11月7日10時42分 読売新聞)

 読売によると初犯群と受刑歴群とを比較すると受刑歴群は圧倒的に親族との音信がなく、収入に恵まれていない。「生活の安定を確立した上で、孤立させることなく生きがいのある生活を提供することが重要、として、生活支援や就労支援の必要性を指摘している」といっている。
 犯罪白書の中で指摘されているのかどうかはわからないけれど、産経ニュース(2008.11.7 10:22)は「今後、人口の多い団塊の世代が高齢期に達することによる犯罪増加に警鐘を鳴らしている」と書いているのだけれど、これが産経独自のスタンスなのか、あるいは法務省がレクチャーでこう指摘したのかは不明。
 しかし、団塊世代の一員である自分にとってこれははなはだ不愉快な表現で、これではこの固まり集団は犯罪予備軍なんだといっているようにも聞こえてくる。2007年という時代背景がこうして特徴的な状況を生じることになっているのか、はたまた世代が持つ特有な状況を意味しているのか、あるいは65歳を超えるとそうした状況にならざるをえないという共通認識があるのか、大いに疑問ではないか。
 あまりにも軽率なこうした表現はそれでなくても年金やら医療費、それを要因として考えなくてはならないかも知れない消費税増税等について語られはじめている世代間格差に関する議論に余計な油を注ぐことになりはしないだろうかと危惧するものである。