ほぼ足りてまだ欲 その先

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Treason on the Airwaves: Three Allied Broadcasters on Axis Radio During World War II

Treason on the Airwaves: Three Allied Broadcasters on Axis Radio During World War II

 著者はUniv. of Sydneyの歴史学の教授。日本では国家反逆罪という言葉はあまり使われない言葉である。本書は第二次世界大戦中に放送に絡んでそれぞれの国家で国家反逆罪に問われた三人を焦点にあてた著作である。多分日本ではいわゆる「東京ローズ」と呼ばれた女性のことは知られていても、あと二人については殆ど知られていない。ひとりはオーストラリア人で日本の捕虜になり、いわゆる「東京ローズ」として米国で国家反逆罪で有罪になったアイヴァ・郁子・戸栗と共に日本の対太平洋プロパガンダ放送である「ゼロアワー」に従事したCharles Cousens。残り一人は英国人でありながらドイツからの対英プロパガンダ放送に従事したJohn Ameryである。
 アイヴァ・郁子・戸栗については日本でもドウス・昌代が著し、上坂冬子が著しているし、「日の丸アワー—対米謀略放送物語」池田徳真著 (中公新書1979年) にも書かれている。
 Charles CousensについてはIvan Chapmanが「TOKYO CALLING」で1990年に出版している。私は彼について書かれたものはこの一冊しか知らない。昨年11月に調べたときに、彼が国家反逆罪について無罪となった翌日の新聞記事をようやく見つけた。
 John Ameryは1945年12月19日に絞首刑となった。しかし、私は彼のことについては名前を当時の新聞の中に見つけただけである。
 いつか誰かがこの三人を纏めるのではないかと思っていたけれど、シドニー大学の先生がやるとは思ってもいなかった。じっくり読もうと思う。