ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

戸山団地

 NHK総合テレビNHKスペシャル 介護保険が「使えない」〜10年目の検証〜」は総戸数2300戸、住民の過半数が65歳以上という新宿区の都営戸山団地を舞台に高齢者介護を支える「介護保険」の実態を伝える。途中から見たので、前半がわからなかったけれど、独居老人、老老介護、家族介護による生活費の困窮、といった問題を浮き彫りにする。(都営戸山住宅は建て替えの際に1DKの独居高齢者用の部屋を創り他の都営住宅から転居させたという要素もあるらしい>)
 多摩ニュータウンでも大いに問題になっていたことでもあるけれど、どうしてもコンクリートと鉄の扉で仕切られた囲いの中と外の不連続が事を面倒にもしている。情報の共有化はこれまた難しい。それでもこの団地には世話人の皆さんがおられて、機能していることが垣間見える。
 番組のキャスターが最後に厚労省老健局長にインタビューをしたときに、制度の姿と介護の現場の実情との間にずれているところが見えると説明すると局長の反応ははっきりしたものではなかった。次の見直しの時期に考えて行かなくてはならないという程度のものにしか聞こえない。
 確かに、2000年にこの介護保険制度が立ち上がったとき、様々な問題点をしてきてしても、とりあえずできたばかりの制度であり、これがとにかく動き出すことを見守っていただきたい、とにかく動きながら考えていきましょうと説明されていたことを想い出す。
 社会保険制度ではカバーできる範囲はその大半を占めるだろうけれど、そこからこぼれる人を救いようがない、というのが現実なんだと良くわかる。それはなにかというとサービスを必要とする人を見つけきれないというシステムの欠陥、サービスを必要としても費用を負担しきれない要介護者の存在、そしてそれを支える介護者の負担の大きさ。
 保育のシステムを大きく変えようとしている政策方針を見ているとこっちもまた介護保険と同じ轍を踏もうとしているように見える。そしてこれはまた大きな不満足をこれほど大きく少子化が叫ばれる社会に拡げていくことになるのかも知れない。
 ひょっとするとこの国の厚生行政というのは、「本気」という言葉がやっぱり大きく欠落しているのかも知れない。
 私たちのコミュニティーにも介護を必要としている高齢者が少しずつ増えていっている。一度実施して回収できなかったという挫折で萎えてしまった回覧板をもう一度粘り強く提案していってみようか。
 (追記:090427:ショートステイが足りない(ショートしている)のには鶏と卵の関係もある。施設側としては少しでも売り上げを伸ばすためには空いているスペース(ベッド、部屋)があってはならない、つまり稼働率を上げるためにできるだけショート・ベッドは埋めておきたい。だから、いざ緊急に必要となると空いていないのだ。新宿区が介護つき有料老人ホームに確保を頼んでいる三つのベッドについては年間750万円を予算化しているという。)