- 作者: 鶴見俊輔上坂冬子
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2009/04/15
- メディア: 新書
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再びこの本に戻らざるを得ない。他の本と平行してつまみ食いするように読んでいたんだけれど、とうとうこっちが面白くてたまらず他の本は全部放り出す。これは上坂冬子と鶴見俊輔の対談ということになっているけれど、結局鶴見俊輔を「思想の科学」を軸に振り返るというもので、次から次に面白い話がボロボロ出てくるので、やめられない。これまでの鶴見俊輔に関する本の中では秀逸だといって良いだろう。
私は鶴見俊輔に関する本がPHPから出ることに多少のというよりも大いに反感があったんだけれど、上坂が狂言回しになることで実現したんだからしょうがないか。
何人もの人がこの本を取り上げて、ここが面白い、あそこにこんな事が書いてあると書いておられる気持ちが良くわかる。
べ平連に脅威を感じたCIAがアメリカ好みの日本の大学教授を一杯知っていて、いろんな情報を集めテレポートを作っていて、それを纏めた論文があったという。鶴見はこれを持っているけれどまだ使ったことがないといっている。そこには黒幕は後藤新平の孫で、満鉄にあった隠し金が基金になったと書いてあるんだという。これ、面白いなぁ。早く公開して欲しいものだ。
別にここで云わなくても良いけれど、上坂の的外れにはいささか面倒くささを感じるが、亡くなってしまった人のことだ。
今の麻布のあの中国大使館は元はといえば後藤新平の家だったんだそうで、鶴見は小学校の時まであそこで育ったらしい。それを満州国が買い取り、そして中国のものになったらしい。いやぁ、驚いた。
ちなみにp.211にある「東京の物理学校(現・東京電機大)」は(現・東京理科大)の間違いだろう。例の漱石の坊ちゃんに出てくる物理学校だとしたら。