ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

参議院予算委員会 090520

 昨日のNHK総合テレビ参議院予算委員会を中継。参議院のネット中継はなぜか全く接続できず。
 参議院予算委員長はなぜか自民党溝手顕正で、彼は新日鐵社員から、妻の実家が経営していた幸陽ドックの副社長として入社。のちに社長となり、今治造船に経営権譲渡。三原市長から参議院議員。自身のHPに「エリートコースを歩んでいた新日鉄を退職」して幸陽に入社したと書いているのには驚かせていただいた。
 最初の質問者は自民党谷川秀善(74歳)である。はっきり申し上げてあまりにも低次元の質問で呆れ果てる。質問とはとても思えない演説に終始するのがこうした場面での自民党大ベテラン議員の質問だと相場は決まっていて、こうした議員は地元へのアピールのために公的時間を取っているんだろうなと普通の人が想像するのは当たり前で、できるだけ一般人の興味を削いで、国民が国会のやりとりに呆れ果てて、見ない間にいい加減な審議で終わらしてさっさと強行採決する、というのがこれまでのやり方だったんだな、と今更ながら納得する。この間の閣僚席は和気藹々で、雑談しながらニコニコしている鳩山邦夫と甘利がよく見える。
 谷川秀善大阪府庁から平成7年に参議院に転身。彼のHPに掲げられているスローガンは「大阪を変える、日本を変える」で、なんだかまるでどっかの知事のセリフのようで、順序が逆だろう。
 2007年の参議院議員選挙大阪選挙区(定数:3 立候補者:9 投票率55.81%)では民主党・梅村聡(32歳)が1281502票、公明党白浜一良(60歳)が836903票を獲得したのに次いで谷川秀善は732175票で、三位当選している。
 介護職報酬改善についての質問を投げかけるのは結構だけれど、舛添の「私が母親の介護をしていたときは月に40万円かかっていたものが介護保険が導入された結果としてこれが4万円の負担で終わるというわけですから、少しでもサービスに貢献できるように補正予算を早めに成立できるようにしたいと思います。」「よろしくお願いいたします」というだけではいったいなんのためにこの予算委員会が開かれているというのか。
 要介護認定が軽くなることを喜ぶべきであって、重いままであることを希望するのは間違っているという一方的な舛添の手品に突っ込むこともなく、自分の介護体験談を延々と述べていても彼の職務を満たすことにならないことに気がつかない。こんな議員を送り込んでいるのは一体誰なんだろうか。こんな質問に1時間20分も費やしている。

民主党峰崎直樹(59)

 2004年参議院北海道選挙区(定数2,立候補者7 投票率61.74%で、自民・中川義雄・741831票に次いで618277票で二位当選)
 質問冒頭で谷内正太郎元外務事務次官早稲田大学日米研究機構客員教授、現日本政府代表*1が出席できるかどうかと返事を待っているけれど返事が来ないと外務大臣を追求。外務省が谷内を委員会に出さないように囲っているという印象がとても強い。

 与謝野財務大臣「もともと自由民主党所得再分配を重視してきた政党です。国民政党を自認していましたし、累進構造のきつい税制を維持してきた。社会福祉もしっかりやってきた。新自由主義ではなく北欧の社会保障を目指してきた政党である」と発言。「どこが?」と周りをうろうろ探して歩きたい気持ちである。

 与謝野財務大臣「政府をひとつで考えるのは間違い。行政を執り行う部分の政府、所得配分を社会保障を通して行う部分とを一緒に考えることが間違い。行政を行う方の政府は成る可く小さくて公立がよいのがよいのに決まっているのですが、所得再配分社会保障を行う政府というのは大きい方が良いんだけれど、財源が許す範囲という限定がありますから国民が如何なる負担に耐えうるかということによって決まってくるのであります。」自民党閣僚の見解としてはなかなか傾聴に値する解釈である。

峰崎:「今回の補正予算、46基金のうちの30基金の新設。4兆円以上、3-5年にわたる基金。これは憲法上許されるのでしょうか。」

麻生「今回の補正予算は今年度中に支出するために予算について責任を有する現政府が提案して国会の審議をお願いしているものであり、何ら財政・民主主義に触れない」

宮崎内閣法制局長官憲法86条のことと理解する。*2今回の補正予算におきまして、国が地方自治体等の基金の造成に擁する国の補助金としての交付については、国の支出に着目する限りは、本年度中にその総額を支出するわけで、本年度中に国が支出する経費を補正予算に計上、国会審議するもので、予算の単年度主義という憲法に反するものではない。」
峰崎「今年度の支出について承認したというのだけれど、今年度の支出額というのがわかりますか。この時点で確定しているのですか。」
宮崎法制局長官「個別については予算担当部局に訊ねて欲しい。予算につきましては憲法83条以下の規定、財政法23条で規定されている。今回の補正予算についてもそれに則っていると考えるからそれぞれの基金に対する補助金、趣旨については必要な範囲で書かれていると考えている。」
峰崎「財務大臣にお聞きします。14.6兆円は今年度の財政支出はどこに重点が置かれているのか、優先順位、国家の意思をどのようにつけるかがわからない状態で承認しろといっているのは問題ではないですか。」
与謝野「全然問題じゃないとわたしは思っております。憲法が規定していることは、特に後年の負担が生じるような債務負担行為をやるんであれば、ちゃんとその年の予算でやりなさいと書いてあるのであって、こういうふうに基金を作って複数年次にわたって支出をしていくというのは国会の承認をもらえばできるというのが私どもの憲法の解釈である。」
峰崎「今の答弁に対して法制局長官、ニュアンスが違うと思うが」
法制局長官「違っているとは思っていない。予算についてはどうしても財務省から教わっていることも多いのですが、複数年度にわたる国の支援を明確にして、全体としての財源をあらかじめ確保しておくというのが施策の安定的効果的な実施に資するということが認められる場合で、かつ、各年度の所要額をあらかじめ見込んでおくことが難しいと、弾力的な支出が必要という考えがあるときには、全体を今年の総額として支出して、その支出の効果が複数年度にわたるということが憲法86条に反するとは考えていない。
峰崎「安定的、効果的に考えるというのだけれど、政治的な観点で考えると9月までしか任期のない衆議院、内閣がとてもまだ要項も決まっていないという、どう分配するのかもわからないというものを2年、3年先のことを、この時期に一気に決めるのは政治的に見て許されるのか」
麻生「先ほども答弁を申し上げたと思いますが、補正予算は今年度中に支出する予算について責任を持つ現在の政府が決定するのであって国会の審議をお願いしているわけで問題はない」
峰崎「現時点において今年度というのはそれなりにわかりますが、われわれは来年、再来年まで基金が使って良いということを考えるというのであれば、よほどのことがない限りは、軍艦の複数年度支出、羽田の工事とか、わかりますよ、しかし3年積んでおくからいくらでも出しなさいよといって出てきたとしか考えられない。」
与謝野「民主党が政権を取れるという前提で質問しているのだとしたら少々奢りがあるのではないかと思います。国会は会期ごとに不連続ですが、政府は連続して存在していて、ですから存在していて、政府としては国民の経済暮らしに責任を持つということは、政権が続く限りというのではなくてわれわれの視野に入る限り連続して考えるというのがわれわれの責任だと思います。」

 どう考えても、与謝野がイヤミを言ったとしても今回の補正予算は近々やってくるであろう政権交代の事態に至っても霞ヶ関が延命を図ることができるように、基金にして抱え込んでしまおうという考えとしか見ることができない。
 なにしろアニメの殿堂ではないけれどハードの箱物を「補正」で予算化するということひとつを見てもいくらなんでも異常であり、姑息としかいいようがない。はっきり云って間違っている。これを無理矢理衆議院で通してしまった自民党はもともとただれてしまっているから仕方がないとしても、これに付和雷同してきた公明党は宗教的な側面を全て失ってしまったといっても良く、その母体には大きな問題があるといえる。

*1:谷内正太郎北方領土について「個人的には3.5島返還でもいいのではないかと考えている。北方四島を日露両国のつまずきの石にはしたくない」と述べ、四島すべての返還に固執するべきではないとの考えを明らかにした。

*2:憲法86条「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」