ほぼ足りてまだ欲 その先

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財団 セクハラ

 骨髄移植推進財団の元総務部長が地位確認などを求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であって「セクハラやパワハラは事実で、解雇は権利の乱用」として、同財団に解雇無効と慰謝料50万円の支払いを命じた、と読売新聞(2009年6月12日20時09分)が報じている。
 初めて聴く話で、一体全体「骨髄移植推進財団」でのセクハラってなんだろうとあっちこっちひっくり返してみると元常務理事が相当なことをしていたらしくて、それを内部告発したらクビになってしまったという話のようだ。
 この財団は「骨髄バンク」として大変によく知られた財団で当然厚生労働省の外郭団体で、実質的な常駐役員のトップである常務理事というのは厚生労働省からの天下りであり、常勤理事というのはこの職のみの一人きり。現在の常務理事は発表資料によれば前職は厚生省大臣官房付(総務庁長官官房 地域改善対策室長)である。
 この財団の近況についてはこちらの「公的骨髄バンクを支援する東京の会」の通信サイトをご覧いただけるとこの財団が当時も、そして現在もどのようなスタンスに立っているのかが良く理解できる。自分を批判する人は全て自分の敵なんだという解釈でそれまで人生を過ごしてきた人間に自らの行動を振り返るという感性を期待しても無駄だということなのかも知れない。だとしたら彼らの感性を公のものにして決着を図るしか方法はないのだろう。「人間」の尊厳という意味が理解できない人間にこの様な業務を統括することができるわけがない。
 msn産経ニュースの記事(2009.6.12 18:10)によると「平成17年4月の総務部長就任直後、常務理事からセクハラを受けている職員から相談された」とあるから、ここでいう常務理事というのは2004年8月に就任して2006年3月までこの職にあった元厚生省地域福祉課長、元九州厚生局長、あるいは環境庁自然保護局企画調整課課長でもあったという堀之内敬のことだろうか。
 実は「骨髄バンクを支援する東京の会」がだしている会報から知ったのだけれど、2006年2月16日の衆議院予算委員会社民党阿部知子がこの財団について質問に立っている。一部始終を再録しておく。

164-衆-予算委員会-13号 平成18年02月16日
阿部(知)委員 社会民主党市民連合阿部知子です。
 本日、私は、実は昨年の秋に民主党の皆さんが予備的調査として請求してくださった、公益法人や外郭団体への国家公務員OBの天下り問題について、ちょうどタイムリーに調査局からこんな厚い資料が出てまいりました。これは天下り一覧。一冊、こんなにございますが、何と約四千団体近くに二万人以上の国家公務員OBが天下っておると。民主党の皆さんは、補助金との関連で、このことを今後もっともっとさらに追及していかれると思いますが、本日の私の質疑は、よくこのごろ市場化テストという言葉が使われますが、天下りテストというのをやらせていただきたいと思います。
 どういうことかというと、もちろん、官僚の経験をその後の住民生活や市民生活、公益、公共のために生かすような官僚のあり方というのもあると私は思いますし、いたずらに官僚バッシングしても、市民生活がよくならなければ結局不幸だと思います。
 しかし、きょう私が取り上げさせていただく二つの事例は、そのような意味で、果たしてこの天下られた官僚の皆さんは本当に国民の公益や住民の声を聞いているんだろうかということで、強く疑義を差し挟む案件ですので、厚生労働大臣並びに、この案件と直接には関係ございませんが、財務大臣に御質疑をさせていただきたいと思います。
 まず一件目は、骨髄移植推進財団の問題でございます。
 皆さんも御承知と思いますが、骨髄移植は、今や我が国の、特に小児がん再生不良性貧血といった難病の一つの大きな光となり、治療としても普及しておりまして、この骨髄移植のドナーとして30万人登録ということが求められております。
 1991年、この財団ができましてから、もともとはボランティアの方々が非常に熱心に、この骨髄移植を進めるべく、本当に地道な努力を重ねられ、財団という形になり、発足してことし15年目と思います。ところが、この財団をめぐって、ことしに入ってからも、相次ぐさまざまな、何と申しましょうか、悲しい報道が続いてございます。
 例えば、2005年の4月には、この骨髄移植財団の理事人事をめぐって、医者に偏った理事構成であったり、あるいは、引き続いて6月には、内部留保金といって、財団の中にためるお金が多くなり過ぎて、本来であれば、患者さんたちがもっと安く、少しでも安くいい治療を受けられるためのお金に還元されてしかるべきではないか。これは実は私が委員会で取り上げさせていただき、患者さん負担は少し軽減されたと思いますが、やれやれと思っていた矢先、今度は秋口になりまして、ここの財団内のさまざまな人事や、あるいは、場合によってはセクハラではないかと思うような事態が生じていて、とても運営上支障があるんだということが報道されるようになってございます。
 まず、川崎厚労大臣にお手元の一枚目を見ていただきたいと思いますが、ここに財団の委員会体制、組織図が書いてございます。上に理事会、下に事務局とございますが、これだけの日本の中においてたくさんの子供を救っている骨髄移植という大事な仕事を担いながら、実は、事務局のところで、中央事務局には42名がコーディネート作業とかあるいは広報活動しておりますが、常勤はわずか14名で、契約が20名、そして非常勤が8名。これは厚生労働大臣も、先般、やはりいろいろな仕事を常勤でやってもらいたいよという御答弁、随所でございましたが、そういうことから見ても、非常にこれは非常勤の方に頼る、あるいは一年契約の方に頼るという形式でやっております。
 実は、この一年八カ月ほどの間、とりわけ新しい事務局長体制になりましてから、人事の中で非常に多くの方がやめていかれる、離職される、あるいは人事案件に問題感を持たれる。そして、ついに昨年の11月には、ユニオンという形で組合が結成されました。主な理由は、そこで取り上げられているセクシュアルハラスメントのことが十分にこの部局内で改善されていないのではないか等々、そして東京の労働局からは是正勧告が出されたりしております。
 冒頭、ここを主管なさる、指導なさる厚生労働大臣として、そして、大事な移植ということをつかさどる部署でこのような事態が生じておるということはお耳に入っておりましょうや、一点目、お願いいたします。


○川崎国務大臣:まず、骨髄移植財団でございますけれども、今お話しいただきましたように、多くの皆さん方の御協力によりまして、(平成)17年末現在のドナー登録者数は23万2565人、平成4年から、15,000、登録者数、新規から始まりまして、平成17年、3万9千人の方が新規登録をしていただいている。骨髄移植例数として、平成5年86件でありましたものが、今914件、累計で7017件ということで、ある意味では順調にこの財団の仕事が進んでおるという理解をいたしております。
 一方で、いろいろな報道もされておりますし、私も聞かせてもらいました。一つは、内部だけではなくて、やはり外部の方、弁護士等が入っていただいて、第三者的にきちっと議論をしてもらおうと。私も、委員もそうでしょうけれども、こういう問題については両者から正確な情報を入れながら分析していかなければならないなと、そういう意味では重大な関心を持ってウオッチをしているということでございます。


○阿部(知)委員:大臣のお耳に届いている情報に、一部私はバイアスがあると思います。
 実は、その第三者委員会というもの自身が第三者的でないというふうに働く側が指摘されておるという点です。本当に第三者委員会、外部委員会で第三者的に、特に事態はセクハラでありますから、ここで指摘されている事案は。あるいは、採用をめぐる、採用の継続をめぐる有期雇用の皆さんの労働条件の問題でありますから、もう少し大臣も情報をよりよくお聞きくださいますように、私は、本日は時間の関係で、そのように申し上げさせていただきたいと思います。
 そして、ここの部局内でセクハラがあったかなかったか、事は極めて微妙なことではありますが、実はここに至る経緯の中で、現在その管理をなさっている側の中に、かつて環境省でお勤めのときに、いわゆるセクシュアルハラスメントとして、人事院のさまざまな取り決めが前年にできまして最初の処分者となった方がここにお勤めであります。この方は、個人が特定されますのでなかなか問題がございますが、その後四つほどいわゆる外郭団体並びに生命保険会社等々を経由されて現在の職に来ておられます。
 私は、このセクシュアルハラスメント、特に人事院のさまざまな取り決めがされ、省庁においてはきちんとやはりそういうことに対処していける体制をつくり、なおかつ指導も徹底すべきところと思いますし、また次の職場で同じように指摘がされる。事実はおっしゃるようにいろいろあると思います。ただ、指摘がされるということだけでも、やはり問題が大きくなります。
 厚生労働大臣として、この案件、さらに本当に御自身が状況を把握されて、私は骨髄移植事業のためにももっときちんとした厚生省の管理監督、指導が発揮されてしかるべきと思いますので、先ほどの御答弁の関係で、きょうは大臣にもう一問、二問目を飛ばして今の一問で、今後の指導状況についてもきちんと御自身が関与していただきたいということをお願いしたいのですが、いかがでしょうか。


○川崎国務大臣:この問題は、前任の大臣また副大臣のところにもいろいろ届いておった問題のようでございます。そして、両者からいろいろ話を聞きながら、私の時代になりまして、また両者からお話が入っております。それをやはり冷静に判断をしながら、分析をしながら、そして何よりも、この財団が所期の目的をきちっとやっていけるように指導もしてまいりたいと思います。


○阿部(知)委員:おっしゃられたように、尾辻前大臣にも、ボランティア団体からぜひこういう事態を正しく指導してほしいという指摘があった案件ですので、今もって継続しておりますので、迅速な対応をお願いしたいと思います。

 でれでれと時間稼ぎの答弁に終始している川崎の発言でなんだかはっきりしないけれど、このセクハラ事件というのは川崎の前任者である尾辻厚生大臣の時からの問題点だといっている。実は社民党阿部知子はこの前年6月6日の衆議院厚生労働委員会で当時の厚生労働大臣である尾辻にこの財団の内部留保金について質問しているが尾辻の回答もまったくはっきりしていない。

 2006年3月20日に財団は「財団事務局の運営に関する調査結果について」というプレスリリースを発表。セクハラやパワハラにあたる「事実があったとは認められない」と報告されていて、この一件を理事長に報告した幹部職員の行為は誹謗中傷に当たるという結論となっていたようである。財団は内部調査委員会の調査に続いて外部調査委員会の調査を行い、報告があがってきたが、その調査の全貌を発表せず、部分的な発表をしてその後追求を受けてもいる。
 2006年9月26日に当初の告発をした元総務部長は懲戒処分になっている。つまり、問題追及のきっかけになった内部告発をこんな時点になって思いっ切り潰したということであるが、この時点ではもうすでに堀之内敬は依願退職してしまってこの財団には在籍していない。この財団、もしくはこれを後ろから操作する厚生労働省官僚体制はこの際潰しておこうとした、ということなのだろう。
 堀之内敬は現在も尚美学園大学大学院 総合政策学部 総合政策学科教授で、老人福祉論、社会保障論を担当しているということのようである。
 財団のコメント:「主張が認められず、きわめて残念」
 厚生労働省のコメントを訊きたいところである。