ほぼ足りてまだ欲 その先

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麻生総業と元戦時捕虜

 6月15日付の「きっこのブログ」に元戦時捕虜だった豪州人が麻生総業に対して補償と謝罪を求めているという記事が掲載されていた。
 当時の各地の産業拠点での操業、あるいは軍事施設の構築工事に関して、連合国の戦時捕虜が使役についていたことは周知の事実でこれはもう否定のしようがない。
 この記事の元は豪州のThe Australianという数少ない全国紙(但し、ルパート・マードックのNews Corp.系)が書いた4月の記事が元になっていて、これをAFPが日本文で掲載していた。この種の元戦時捕虜による訴えを日本政府が公式にここについて謝罪を呈した実績は殆どなくて、既に連合国との間では終わっている、というのが基本的スタンスだけれども、この場合彼らが訴えているのは、麻生操業の元経営者である麻生太郎に対して個人的に謝って貰いたいという要素が含まれているところが異なっている。
 本件に関しては民主党参議院議員である藤田幸久がこれまでに三回にわたって質問主意書を提出しているらしくて(こちら)、細かく麻生太郎内閣のスタンスをただしているが、まったくあしらわれてしまっている。
 ところが6月12日付のThe Australianには「麻生総業は来週ジョー・クームス氏、そして彼の二人の息子、英国の元戦時捕虜の息子、ジェイムズ・マッカーサーと面談する予定だ」と書いている。同紙同日付には「麻生ラファージュセメント(株)は麻生総業が60.6%を出資し、ラファルジュ(フランスの多国籍セメント会社)によって残りが出資されている企業であるが、両社とも麻生鉱業とは法的コネクションがないと主張している」と報じている。
 これが日本の各社の常識的主張根拠となっているのは良くわかっておいた方が良いだろう。60年以上の年月が経って当時戦時捕虜を労働力として必要だと申請して、労働力の提供を受けた各企業はもうそんな過去を忘れようとしている。というよりもこれまでひたすら下を向いてそんなことは知らないと無視をしてきた。政府がどうにかしたはずだと。しかし、麻生総業の場合、その元経営者が、そして現経営者の親族が日本の首相であるという逃げようのない状態にいる。
 「個別の案件につきましては、コメントをさせていただく立場にはない」とまた答弁して終わるわけだろうか。
 4月24日のThe Australianの記事によると2月に彼ら元戦時捕虜たちが連名で「非人道的な扱いに対する、そしてそれをその後ずっと無視してきたことに対する謝罪」を要求した手紙を書いた。どうもそれに対するレスポンスはされていないようである。