ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

納税

 高校の学費無償化の対象に外国の学校を含めるかどうかで議論になっている。課税対象となっていて納税している以上、その税による恩恵は受ける権利があるような気がする。外国に暮らしてみると分かるけれど、外国人でも課税される。しかし、その国が給付するサービスは受けることが出来るのがあたりまえだ。
 豪州ではかつて私たちのようなtemporary residentに対してもmedical levyという医療税を付加されていて、その代わり医療サービスを受けると国家による医療費負担がされていた。労働党政権から保守連合政権に代わった途端にそのサービス対象からtemporary residentは外された。抗議されて連邦政府は彼等からのmedical levyの徴収を中止した。恩恵がないのならその目的税を納めないのはあたり前だ。
 その後はtemporary residentはまったくの無医療保険状況に置かれた。それは民間医療保険会社を保護するための政策だった。もともとあの国の医療は制度保険で受けられる医療サービスは時間が掛かった。待っていられない富裕層は民間医療保険をかけて、より早い、より高度なサービスを受けるシステムになっていた。医療サービスに格差があるけれど、少なくとも最低限の医療サービスは誰でもが受けられるというものだ。ま、あの後はtemporary residentは放り出されてしまったわけだけれど。
 日本には目的税というものはない、少なくともこの時点では。従って所得税、住民税というものを納税するシステムになっている以上、それに見合ったサービスの提供という意味では差別されてはならないのではないだろうか。そうでなければ免税対象にするべきか。
 学校法人として認められていないというところがこの場合大きな判断基準となるということだろうか。
 そういえば日本には様々な日本のいわゆる学校とは異なる“外国教育機関”が存在する。フランス系の学校が浅草橋の廃校になった台東区立中学の校舎を借りて運営されている。様々なところにInternational Schoolというものがあってそこには何人も日本国籍の子どもたちが学んでいる。この子どもたちの存在はどうなるのだろうか。そういう学校にいっている子どもたちは経済的に困っているはずがないから対象から外れるということになるのだろうか。
 そういえば子ども手当の対象としてはどうなるのだろう。国籍要項を作るのだろうか。
 私たちの国はこれまで外国人である人たちを含んだ社会であったにもかかわらず、それを例外扱いして外国からやってくる人たちの扱い方をきちんと議論してこなかった。行政はその場その場の臨床的対応ですべてを処理して乗り切ろうとしてきた。それではもう終わらない時期が随分前から来ている。それなのに、その対応をどうするのかについて怠慢を決め込んできた。
 もう、逃げることが出来ない。看護師・介護士の外国からの導入については積極的に助けて貰おうという姿勢をとることが出来ずにいて、その間にそういう人的資産はどんどん他の国を助けにいってしまおうとしている。それに行政が気がつこうとしていない。厚生労働省は「外国人排斥運動」家の勢いに負けてしまっているのだろうか。
 この国はもう外国人の助けを借りず、外国人を受け入れることをやめてしまい、人口が減り、労働力が減り、衰退していくという方向をとることにしたのであれば、もうそれで良いだろう。
 今はまさにどちらをとるのかという岐路に来ている。どうしても選ばなくてはならない。放置するということは衰退の道を選ぶということになる。