ほぼ足りてまだ欲 その先

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新宿 本屋

 保阪正康はとことんアカデミズムの、特に若手の研究者が嫌い(いや、許せないと云った方が良いだろうか)のようで、彼等は図書館、資料館から一歩も出ずに書いていると決めつけておられる。ま、確かにそうかもしれないけれど、彼等にとっては直接話を聞くことのできる証人がどんどん他界していて、もう殆ど直接的には聴き取ることが出来ないから、そういわれても辛いものがあるだろう。次に考えられるのは、保阪のような直接インタビューをした人から間接にとるしかなくなるわけだけれど、それではあまり意味がないと云うよりも偏る危険性だって指摘されかねない。つまり、これから先は日本の近代史研究もこれまでの様には行い得ない、ということになるのだろう。
 今日の話は東條英機についての話だった。そういえば彼の孫だという女性はひところ表舞台に随分顔を出していて、家庭では優しい祖父だったなぞと日本の近代史を語る上では全く的外れな見解を述べていたものだ。今や殆どお顔を見ない。
 終わった後で何人かの方が保阪正康に群がっていたのはなんだろうと思ったら、彼の新刊「田中角栄の昭和」が朝日新書から刊行されたのだった。新書にしては珍しく400ページもある。彼は9月に新宿の朝日カルチャーセンターでこの著作に絡む講演をするのだそうだ。この著作を踏まえて今月の「中央公論」での保阪+半島+松本健一の座談会を捉えると良いのだろうか。そんなことから生まれて初めて中央公論を買ってしまった。薄いのだけれど、900円する雑誌である。
 岡田ジャパンに関する記事が出ていて、それによるとヤフージャパンのW杯ページでの岡田武史の支持率はデンマーク戦後93%に達したとある。あれだけ岡田武史のことをぼろくそに云っていた日本国民が掌を返したこの有様である。この国民は本当に軽いなぁと思うけれど、職場の上司に「お前みたいな軽佻浮薄な奴は見たことがない」と云われた私にいわれてしまうんだからこりゃもう最低である。
 最低と云えば、この雑誌をぱらぱらしていたら竹中平蔵が書いているのを見付けてしまって、痛恨の極みである。少なくともあの男の懐に原稿料が入った雑誌をわが家に入れてしまったのだから。
 朝日新書と云えば同じくして鶴見俊輔編著「新しい風土記へ」が刊行されている。姜尚中中村哲徳永進、アーサー・ビーナード、上野千鶴子四方田犬彦中島岳志、孫 歌、池澤夏樹とのそれぞれの座談である。
 「atプラス」の04を買ってしまった。もうこうなると惰性だと云って良いだろうか。なにしろ巻頭の「活動へのアート」なんてジャコメッティやらイサム・ノグチが出てきて面白そうなんだけれど、老眼鏡を掛けたってろくに見えないくらいの極小ポイントの活字で印刷されているのである。中身の問題ではなくて、物理的な問題なんである。もちろんこの雑誌はターゲットを今を盛りとエネルギーが爆発しているであろう30代40代に置いているんだろうから、付いてこられない爺さんは置いて行かれてもしょうがないんだろうけれど(そこまでひがまなくても良かろうとは思うけれど)、ちょっとどうかとは思うよ。
 随分以前に刊行されていたそうだけれど、鶴見俊輔の「隣人記」は手にしたことがなかった。どこか他で目にしたのだけれど、あまりにも昔の本なので諦めていたところだったが、紀伊国屋の5階にあった。

田中角栄の昭和 (朝日新書)

田中角栄の昭和 (朝日新書)

新しい風土記へ 鶴見俊輔座談 (朝日新書)

新しい風土記へ 鶴見俊輔座談 (朝日新書)

隣人記

隣人記

atプラス 04

atプラス 04