ほぼ足りてまだ欲 その先

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入管法改正

 昨年入国管理法がまた改正されていた。それが今年の7月から施行されていたのだそうだ。それで外国人研修・技能実習制度が変わった。

①実務研修(いわゆるOJT)を行う場合は,原則,雇用契約に基づき技能修得活動を行うことを義務づけ,労働基準法最低賃金法等の労働関係法上の保護が受けられるようにすること,②技能実習生の安定的な法的地位を確立する観点から,現在,独自の在留資格がなく,在留資格「特定活動」(法務大臣が個々に活動内容を指定する在留資格)として在留が認められている技能実習活動について,その在留資格を整備することとし,これらの2つの活動を行う在留資格として新たに在留資格技能実習」を創設

 この在留資格制度は1981年に創設されたもので、もうすでに30年が経つ。今ははっきりいって、この精度によって確保された外国人労働者なくして成り立たない産業というものが明確に存在する。それはどちらかというと一次産業であり、かつては軽工業といわれたような単純労働にちょっと熟練度を要するような産業から、労働集約的な重工業にまで至っている。
 多くの場合問題になったのは、「研修」なんだから労働者としての管理という扱いになっていなかったことを良いことに、労働強化をしている零細企業があちこちに見られて問題化していた。しかし、これを積極的に取り上げるマスコミは限られていたし、行政も自治体行政から中央に至るまで建前に終始していた嫌いがある。
 あまりにも劣悪な条件下におかれて犯罪事件となって脚光を浴びるケースもいくつか挙げることができるけれど、一過性の事件として表からは直ぐに消えていった。
 いわゆる現実路線を語る人からは、こうした労働者なくしては日本の基本産業が成り立たない、日本人の若者たちがやりたがらない労働を支えるのはこの手の人しかいないんだからしょうがないだろう論が語られる。これを規制したら日本のこれらの産業は衰退、全滅して、例えば、農業にしても漁業にしても、それらの加工食品産業も、縫製業も、単純加工業もみんななくなってしまって、あとは外国からの供給に頼るしかなくなるのだ、それでも良いのか、というのが反論の論拠である。
 しかし、それは安価な外国労働による製品との競争に勝つために外国人労働者を奴隷化して良いということにはつながらないはずだ。
 この30年間、常に問題になってきたのはこうした研修・実習生を派遣するための派遣元ブローカーの存在があって、なおかつ受け入れ側の団体以外の企業での就労という違反行為にある。
 今度の改正で「研修」という意味合いがなくなって、労働法がすべてに適用されるようになり、最低賃金や残業報酬等の保護が課せられるようになるが、実際に現場でその扱いが変わるのかどうかという点に問題は残る。
 この問題については先週24日(水)26時40分から放送されたFNSドキュメンタリーで『朋友〜中国人研修生・実習生問題に向きあって〜』(制作:テレビ熊本)が興味深いが、見逃した。再放送、若しくはオン・デマンドはないのだろうか。
 フジテレビ系がこの種のドキュメンタリーをFNSドキュメンタリー大賞エントリー作品として放映していることには、とても違和感があるのだけれど、まだジャーナリストとしての矜持を持ち合わせているスタッフがマスコミ界にもいるということなんだろうか。それとも局内の安全弁なのだろうか。