ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

「今の若い奴」

 われわれ老人が良く云いそうな「今の若い連中は」という十把一絡げないい方で一括りにされるのは不愉快だ、というのであればそういえばいいわけで、それを面倒くさいいい方で非難しようとするからこんなことになるんだよ。
 何日か前にtwitter集英社インターナショナルtwitterが《戦後の犯罪統計を見ると、もっとも殺人を犯す比率の高いのは──これは言いたくなかったけれど、団塊の世代なのです。それを棚に上げて「今どきの子どもは」と言う》と書いたと記した。
 その経緯をここにまとめてみる。始まりは集英社インターナショナル(SI)の書き込みに私が気がついたところから。

  • <SI>今日の内田樹さんのエッセイにもありましたが、実際のところ、凶悪犯罪はどんどん減っている。戦後の犯罪統計を見ると、もっとも殺人を犯す比率の高いのは──これは言いたくなかったけれど、団塊の世代なのです。それを棚に上げて「今どきの子どもは」と言う。 Sat Dec 11 01:31:39 2010 HootSuiteから
  • <nsw2072>もしよろしければ、具体的にこのデーターの出典はどこにあるのか、ご教示戴けませんか? RT @Shueisha_int 戦後の犯罪統計を見ると、もっとも殺人を犯す比率の高いのは──これは言いたくなかったけれど、団塊の世代なのです。 1:58 AM Dec 11th Echofonから Shueisha_int宛
  • <SI>今、すぐに資料は出てこないですが「犯罪発生率 世代」でGoogle検索をすると、いろいろと関係するデータが出てきます。 Sat Dec 11 02:02:18 2010 HootSuiteから nsw2072宛
  • <SI>Wikipediaの少年犯罪の項、「少年の凶悪犯罪の件数」のところでその考察がありました。 http://ow.ly/3neT5 Sat Dec 11 02:06:06 2010 HootSuiteから nsw2072宛

 私がエヴィデンスはなんだ、と聴いたらさすがに出版社、それも親会社の小学館をしのぐかと思われる集英社の系列会社の社員だけあって打てば響く反応だ。さぞかし偏差値の高い学校を卒業した選りすぐりの人に違いないと思った。この手の企業の社員の私の知り合いはみんな頭が切れる。
 しかし、ここでもう既に午前2時を過ぎていたし、あったこともない人と議論をするのも面倒だったから、そのあとは私は直接レスポンスする格好ではなくて、ひとりつぶやきの格好で、こう書いた。

  • <nsw2072>「少年殺人」どうやら少年殺人犯検挙数が多かったのが終戦直後から高度経済成長安定までの27年間で1925-59年生まれが対象になる。ここから団塊の世代が「もっとも殺人を犯す比率の高い世代」と導くのには若干の無理があり、むしろ時代背景を考える必要がある。(続く) 3:36 AM Dec 11th Echofonから
  • <nsw2072>「少年殺人」(続き)殺人に限らず殆どすべての犯罪が同じ期間にその発生件数がピークを持っていることから見て、やはり時代背景の影響は大きいと考えることができる。ただし、強盗犯罪はバブル崩壊以降小さな山ができている。(続く) Sat Dec 11 03:36:17 2010 Echofonから
  • <nsw2072>「少年殺人」(続き)戦後の混乱期に較べたら現在の、少年による凶悪犯罪犯検挙数が大幅に減少していることは事実である。しかし、「団塊の世代がもっとも殺人を犯す比率の高い世代」という解釈は誤解を招く結果となるだろう。 Sat Dec 11 03:36:25 2010 Echofonから

 このまま終わりにしようかと思ったんだけれど、今日になって、ふと思い立ったので、書き続けた。

  • <nsw2072>古いレスポンスで恐縮ですが、このデーターから「団塊の世代がもっとも殺人を犯す比率が高い」と読むには無理がありませんか? RT @Shueisha_int Wikipediaの少年犯罪の項「少年の凶悪犯罪の件数」のところでその考察がありました。 http://ow.ly/3neT5 Echofonから Shueisha_int宛

 すると直ぐに反応があった。

  • <SI>たしかにそのデータだけでは青少年時だけの犯罪率比較であり、成人後の犯罪比率は分かりません。他のデータが必要です。 RT @nsw2072: 古いレスポンスで恐縮ですが、このデーターから「団塊の世代がもっとも殺人を犯す比率が高い」と読むには無理がありませんか? HootSuiteから
  • <nsw2072>「戦後の犯罪統計を見ると、もっとも殺人を犯す比率の高いのは──これは言いたくなかったけれど、団塊の世代なのです。」とされたのには他にも根拠があると云うことですか?それともこれを云うのは間違っていると云うことでしょうか? RT @Shueisha_int 他のデータが必要です。Echofonから Shueisha_int宛
  • <SI>警察が公表しているデータを再処理すると、それぞれの世代における重大犯罪の発生比率は時系列でもフォローできます。同世代の人口が多く、そのために集団内圧力が高いせいなのか、戦後のベビーブーマー集団は他の世代よりも殺人などの発生率が高くなっているという話でした。 HootSuiteから nsw2072宛
  • <nsw2072>問題は「ベイビーブーマー」集団と限定することにあります。犯罪白書において明らかにされている数字はその集団を定義していないのです。 RT @Shueisha_int 集団内圧力が高いせいなのか、戦後のベビーブーマー集団は他の世代よりも殺人などの発生率が高くなっているという話でした。Echofonから Shueisha_int宛
  • <SI>ベビーブーマー集団とは不適切でしたかね。世代です。でも、小生の聞いた話が違うという資料や研究があればご教示ください。よろこんで勉強したいと思います。 HootSuiteから nsw2072宛

彼は誰に対するレスポンスというわけでなくこんなつぶやきをした。

  • <SI>まあ、でも団塊の世代が元気があるのは安保闘争で実証されておりますね。私どもの世代はその10年くらい後で「三無主義」などと言われまして、無気力、無節操、無思想と批判されております。いまだに無気力です、はい^^; HootSuiteから

 なんと彼は50代だと云うことが類推できる。(若くないジャン)。
 私は私が書いた論拠を提示した。

  • <nsw2072>H20年度版犯罪白書第7編第2章第1節2罪名別動向で高齢者の犯罪は全般に増えているとされているのは事実です。それをたった3年間でしかない、いわゆる「団塊の世代」と断定するのは早計でした。これは縦断的調査が必要ですが、多分組み直すことも可能の筈。 RT @Shueisha_int Echofonから Shueisha_int宛
  • <SI>たしかに世代論というのはいろいろとむずかしいですよね。でも、まあ「今どきの若い者は」というのも、世代論の一種です。 nsw2072宛

 何度も書くけれど、私が気に入らなかったのは彼が「団塊の世代は殺人を犯す比率が高い」と断定して書いたことにある。
 結局彼(彼女?)はベビー・ブーマーとしたのは不適切だと認めているけれど、いずれにしてもお前だって世代論を振り回しているだろうと指摘して、一切間違いを書いたとは認めていない。団塊の世代(ベビー・ブーマー)という言葉が誰を指すのかと云うことを認識できていないという点はあるが、犯罪白書そのものが指摘している「高齢者」をきちんと定義をしていないことにもその原因はあると云って良い。
 平成20年度版犯罪白書を見ると確かに50代、60代の凶悪犯罪検挙数は以前に比べると増えている。しかし、このバックグラウンドが何によるか、までには言及できていない。ひょっとすると少年時代の何らかの要素が影響を及ぼしているのか(例えば戦争による影響)、社会全体が高齢化したことによる影響があるのかもしれない。もうひとつは縦断的な考察をしてみる必要があると云うことだ。常に前後の世代に較べて凶悪犯罪を犯して検挙される率が高いのだというのであれば、戦後の生育時代の影響があると云っても良いかもしれない。これは一歩踏み込んでみる価値はあるかもしれない。