ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

NHKスペシャル

 NHKスペシャルが「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」シリーズを総合テレビで放送していて、今晩午後9時からその第三回「"熱狂”はこうして作られた」と題して当時のマスコミ、新聞やラジオがどの様な役割を果たしてきたのか、という面からこれを取り上げるのだそうだ。
 実はこのシリーズの第二回「巨大組織“陸軍” 暴走のメカニズム」は見たものの、初回の「“外交敗戦”孤立への道」は見逃していた。それがたまたま昨夜夜中にいつものように目が覚めたら、これの再放送だか再再放送をやっていて(「朝まで今夜は生でさだまさし」のあと)、思わず見た。録画機械を充実させないとまずいなぁ。
 第一回目を見て意外だったのは、松岡がジュネーブ国際連盟を脱退した時の演説が彼が突っ走ってあそこに至ったと思っていたものが、どうやら飽くまでも国際連盟に留まることを前提にいたにもかかわらず結局脱退することになってしまったという事情だった。これがわかってはじめて、松岡が日本に帰ってきた時に、非難されるだろうと思っていたにもかかわらず歓呼の礼をもって迎えられたことにとても驚いたという事情がわかった。第一回の冒頭を見るとこのシリーズで多用されている多くの要人のインタビューというものは、半藤利一がインタビューしたものをオープンリールのテープに取っていたもののようだ。
 そして、当時の日本の政治体制の複雑さ、政党政治が極端に脆弱に陥った点、軍部がどんどん独走していく様子が第一回と第二回で明確になる。この政党政治が近視眼的な動きに振り回されている間に軍部が中国でどんどん戦線を拡大していく様子は、保阪正康がいう、共産主義のどこまでも共産社会の拡大を命題にする様子と似て、一度拡大をはじめるとその留まる理屈を見付けられなくなる軍部の命題として理解することができるわけで、今のこの国で自衛隊が政治とは分断されている状況がたまさかの幸運となっていることを肝に銘じる必要がある。このあたりが当時の状況を振り返る意味の重要性となる。往々にしてこうした番組が制作されると、かつての日本軍部の考えを美化する単純な発想が散見される場合があるけれど、そういう輩は歴史を曲解しようとして振り返っているのだということができる。
 昨今の検察、警察の暴挙、前自公政権が繰り返してきたマスコミに対する懐柔官房機密費、地球に対する汚染の最たるものである原子力発電工事の強行、アメリカによる日本への隷従政策への盲従という状況を作り出している現在の日本のマスコミの危険性を正確に把握するためにも、今夜放送される第三回「"熱狂”はこうして作られた」がその警鐘たり得るのかどうか、非常に興味深い。果たしてスポンサー広告出稿料に左右されないNHKはどうこれを切るのか。
 この番組は来週日曜日、3月6日の第四回「開戦・リーダーたちの迷走」が最終回となる。