ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

吉井英勝その3

 前半の数字については私は全くついていけない。しかし、最後の経年劣化についての問題、にもかかわらずプルサーマル燃料による運転に踏み切ってしまった体制の問題は大変に問題だ。

衆議院内閣委員会-2006年05月12日
日本共産党・吉井英勝
 日本共産党の吉井英勝です。
 私は、日本の原子力発電所も大体三十年から四十年たってきましたから、原発というのは、原子炉の圧力容器の中で核燃料が要するに核分裂反応をやっているわけですから、中性子がどんどん飛び交い、それによって連鎖反応が次々と起こっていく、そういう現象ですが、中性子によって材料がたたかれることによってもろくなってくるという問題があるんですね。わかりやすく言いますと、要するに、熱いガラスのコップの中に冷たい水を入れたらぱりんと割れるように、もろくなるということはそういう意味なんです。
 そこで、きょうは、脆性遷移温度というのをお手元に資料を配らせていただいておりますが、これは、幾つかある原発の原子炉圧力容器、これに中性子がどれぐらい当たったときにどれぐらいもろくなっていくかということは、この脆性遷移温度というのがどんどん上がっていくわけですね。ですから、こういうグラフというのは、少し端っこと端っこを斜め向けにこういうふうに見てもらうと、大体の傾向として、ずっと右肩上がりに上がっていくというのがよくわかってもらえると思うんです。
 これは片対数グラフですから、横軸の方は、中性子照射量が、上の数字の下に一掛ける十の十六乗とか十七乗、十八乗というふうに書いておりますが、要するに、中性子が一平方センチ当たり幾ら当たったかというその個数、それを横軸にして、そのときにもろくなっていく度合い、つまり脆性遷移温度がどう変化しているかというのを、全部の原発ではこんがらがってややこしくなりますから、沸騰水型では敦賀一号、福島第一原発一号機、あと、加圧水型では関電美浜一号、二号、大飯一号、二号、九州電力玄海一号というものについてプロットしたのがこのグラフです。そのもとになるデータが下にある表であります。
 それで、加圧水型原発については、高速中性子が、要するに、今言いました圧力容器の壁、炉壁などに、母材に照射されることによって、中性子が当たりますと金属格子がきちっとした組み合わせのところからずれるものですから、格子欠陥というんですが、これが生じます。そうなりますと、緊急事態発生時などに原子炉の急冷を行ったときに、急に冷やしたときに、金属がもろくなっていて熱衝撃などに耐えられなくなる問題、つまり、原子炉が壊れるという問題を抱えてくるというのが原発の老朽化ということです。
 沸騰水型原発の場合には、三年ほど前に東京電力の不正事件で明らかになりましたが、炉心隔壁と言われるコアシュラウドというのが中性子を遮へいする役割を果たしておりますから、ある意味では、圧力容器の壁に中性子が当たる比率が加圧水型に比べると二けたから三けたは低い数字になっておる。つまり照射量が少ないということになるわけでありますが、いずれにしても、その場合は、コアシュラウドというのが中性子を次々と浴びてもろくなってくる、ひびが入りやすくなるとか、そういう問題が出てくるということです。
 このことは、制御棒に関しても、あるいは燃料被覆管の被覆材の方で、燃料体の被覆管などでもそういう問題は本来起こり得る問題で、最近も、東京電力を初めとして、ハフニウムの制御棒の制御板にひびが入ったというのは、そういう中性子が次々と照射されることによって起こった現象です。
 そこで、最初に政府参考人の方に伺っておきますが、もろくなる状況を示すこの脆性遷移温度が、これはどんどん温度が上がっていって、美浜一号ですと七十四度C、美浜二号で七十八度C、高浜一号で八十八度C、大飯二号で七十度C、玄海一号で五十八度Cというふうになっていますけれども、いずれも、運転開始前はマイナス数度とか、あるいはマイナス三十度ぐらいが脆性遷移温度であったものですから、やはり三十年、四十年近く運転してくると、そのことによって脆性遷移温度がうんと上がってきているということをまず読み取らなきゃいけない。もろくなってきているという問題について真剣に取り組んでいかなきゃいけないというふうに思うわけですが、まず最初に、この数字などを含めて少し確認をしておきたいと思います。

○広瀬政府参考人 先生御指摘の脆性遷移温度の上昇でございますが、これは、高経年化に伴う主要な劣化事象の一つであります中性子照射脆化によるものであると認識をいたしております。核分裂により発生する中性子が長期間にわたり圧力容器に照射されることにより、破壊靭性が徐々に低下されるものでございます。
 これにつきましては、炉内に装荷した監視試験片を取り出し、強度試験を行うことによりまして健全性を確認することといたしております。

○吉井委員 ですから、そういうふうにして健全性というのは、つまり、健全であるか、大分危ないと思って注意しなきゃいけないかということを確認する試験片であるわけですが、今申し上げました数字は、これは絶対値なんですね。
 それで、相対的に、つまり、どれぐらいもろくなったかという点では相対値で見た方がいいので、これは、資料の下の方の表の、それぞれのものの、ゼロというのは装荷したときですから、運転前ですから、一番新しい数字が一番大きい数字として、美浜一号にしても二号にしてもみんなこの差をとればいいわけですから、そうすると、この相対値で見たときに、美浜二号では八十一度C、大飯原発二号では八十八度C、玄海一号では七十二度Cなど、上昇が非常に大きいんですね。
 だから、そういう点では、絶対値も高くなっているんですが、相対的に見ても、かなり日本の原発も長期に運転してきて、材料の面ではもろさということについて真剣に考え、取り組んでいかなきゃいけないという問題を抱えてきていると私は思うんですが、これも政府参考人に伺います。

○広瀬政府参考人 先生御指摘のように、沸騰水型と加圧水型を比べましたときに、加圧水型の原子炉の方が中性子照射量が多くなる傾向にございます。
 また、この表にございます各炉で、沸騰水型と加圧水型があるわけでございますが、材料の中に含まれる不純物によりましても脆性遷移温度の上昇傾向が変わってまいります。一般に、不純物の含有量が多いほどその傾向が大きくなると言われておりますので、このような中性子照射量、また材料の不純物の量等をこれからしっかり管理していくことが重要だと考えております。

○吉井委員 今おっしゃった沸騰水型ですと、さっき言いましたように、炉心を取り巻いているコアシュラウドという炉心隔壁がありますから、直接的には、原発の圧力容器に当たる中性子の量は加圧水型に比べて二けた、三けた低いんですね。
 ところが、このグラフの左端に近い方をごらんいただくとよくわかるんですが、沸騰水型の敦賀一号は、下の方は確かに低いんですが、白い四角ですね、これもどんどん使用しているうちに高くなってきて、これは五十度を超えるものになってきている。福島第一原発の一号機については、これは〇・一というところ、一掛ける十の十八乗個のところで見ると、急速に、わずかの調査期間にぐんと上がっているんですね。
 これは、実際上、データというのはばらつきもありますから、私はそれだけで決めつけて物を言うわけじゃありませんが、この傾きのまま行きますと、比較的近いときに調べたときにはさらにぐんと上がっていくということになりますと、そうすると、これはNRCの方がきちんとした解析をしなきゃいけないと言っている華氏二百七十度、摂氏百三十二度というところに、これは百度のちょっと上のあたりですけれども、すぐに到達をするということで、これは、いずれにしても、沸騰水型原発の場合であっても圧力容器の脆化がコアシュラウドの問題だけじゃなしに進んでいる。このことを、加圧水型だけじゃなくて沸騰水型についてもこの脆化という問題はかなり深刻に受けとめる必要があるというふうに思うんですが、この点、政府参考人、どうですか。

○広瀬政府参考人 先生御指摘のように、中性子照射脆化によります遷移温度の上昇につきましては、運転管理の面でも十分対応していくことが必要であると考えております。特に脆性破壊に厳しくなりますのは、運転中あるいは事故時に低温かつ高圧力になることでありますので、先生御指摘の沸騰水型原子炉につきましても、特にそのような状況になる事態、例えば原子炉圧力容器の耐圧試験時によく注意をするということが必要になってくると考えております。

○吉井委員 それで、実は、これは圧力容器だけの話で見ていたんですが、私、余りいろいろ書き込むとややこしくなるから省略しているんですよ。三年ほど前の東京電力のコアシュラウドのひび割れ問題ですね。あのデータというのは、実はこれで見ると、今度は右端の方から一つこっちに一という数字がありますが、これは中性子照射量が一掛ける十の十九乗個・パー・スクエアセンチというところ。その少し右あたりのところを見ていただくと、上から白い三角、黒い三角、黒い四角のひし形にしたもの、それからプラスに、白いひし形に見える、これが大体一直線に並んでいるぐらいに見えるところがあります。これは上から美浜一号、美浜二号、大飯二号、玄海一号、大飯一号というふうに縦型に大体並んでいるところなんです。
 実はこのところで、一・八三掛ける十の十九乗個で、東京電力福島第二原発三号機で、溶接線ナンバーH2というところでひび割れを起こしていますね。その一つだけじゃありませんが、あれはその周辺で、つまり、今までは圧力容器についてはこの程度なら大丈夫だろうと思っていた領域で、実は中性子照射が非常に多いものですから、東京電力のコアシュラウドではひび割れが起こっていたというのが幾つも観測されたというのが事実の問題としてあると思うんですが、これも参考人の方に伺っておきます。

○広瀬政府参考人 先生が御指摘になられました東京電力の福島第一・四号機、第二・二号機、第二・三号機、第二・四号機、また柏崎刈羽一号機のシュラウドの溶接線、これはそれぞれ場所が異なっておりますけれども、その溶接線のところで中性子照射によるものと思われますひびが生じております。
 このひびにつきましては、それぞれのひびの状況に照らしまして破壊力学的評価を実施いたしております。

○吉井委員 私が今言いましたのは、コアシュラウドで一・八三、つまり大体二掛ける十の十九乗ぐらいの照射量のところで、そこで幾つもの沸騰水型原発でひび割れが起こったんです。同じ照射線量に至っているのがこの周辺の加圧水型原発の圧力容器と言われる、核分裂反応をくるんでいる容器そのものが、実は沸騰水型ではひびの入った、それぐらいの中性子の照射量になっているというのがこのグラフを見ておりますとよくわかるわけです。
 それで、参考人の方に引き続いて伺いますが、外国の研究事例に基づいて、中性子照射量が一平方センチ当たり三掛ける十の二十乗個以上になると、コアシュラウド、炉心隔壁の材料であるステンレス鋼に脆性劣化が起こるということを、これは二〇〇二年八月二十九日の原子力安全・保安院の、東電原発の不正事件の安全性への影響についてという報告の中で示しておられると思うんです。
 外国の研究事例にしても、そして保安院自身が考えていらっしゃるものにしても、中性子照射量は、既にコアシュラウドで起こっているわけですが、ステンレス鋼であっても脆性劣化がかなり深刻に起こってくる、このことを国の方ではつかんでおられる思うんですが、どうですか。

○広瀬政府参考人 先生御指摘のように、炉心シュラウドへの中性子照射量が三掛け十の二十四乗個中性子・単位平方センチメートル以上になると、炉心シュラウドの材料、ステンレス鋼でございますが、脆化するという海外からの情報を私ども確認いたしております。
 このような中性子照射による脆化に対しまして、私ども、いろいろなことを今取り組もうと考えておるところでございます。その一つとして、やはり監視の試験のデータをふやしていく、中性子照射量が今後ふえてまいりますので、監視試験のデータをふやしていくということを考えていきたいと思っておりまして、そのためには、この炉心の中の監視試験片を再生すること等に取り組んでいきたいと思っております。また、一方では、この脆性遷移温度の上昇に伴う脆化に関します評価のやり方、これを最新の知見に照らしましてもっと向上させていくということにも取り組んでいきたいというふうに考えております。

○吉井委員 この中性子照射による原発の脆性劣化の問題はかなり深刻だということを受けとめておられることはよくわかりました。
 それで、今おっしゃった単位は、一平方メートル当たりは二十四乗個なんですが、一平方センチ当たりにしますと十の二十乗個ということになりますから、ちょっと単位だけは合わせておいた方がいいと思うんです。
 それで、実はこの点では、先ほどのグラフで、大体プロットしてある点をずっと逆に上の方へ延ばしていくとどういうことがわかるかといいますと、こう延ばしていったときに、一番右端の線に接するあたりで、これが華氏二百七十度、もうちょっと上の方に、百度の上に線を引っ張ったらよくわかるんですが、摂氏百三十二度の線に大体接してくるわけなんです。
 これはどういうことかといいますと、NRC、アメリカの方では、脆性遷移温度が華氏二百七十度、摂氏百三十二度以上になると詳細な安全解析を行えと指示している温度なんですね。つまり、それぐらい原発の老朽化、脆性劣化は深刻だというのがアメリカの原子力規制委員会などでは指示が出されているわけです。
 既に炉心隔壁、コアシュラウドではひび割れが生じているわけですし、ほどなく脆性遷移温度も上昇して、百三十二度というNRCが安全解析を指示しているラインに近づいてきているわけです。そこで、私、この点も伺っておきたいんですが、NRCはどういう安全解析を求めているのか、日本はどういうふうな実証試験をやっていこうと考えていらっしゃるのか。
 つまり、物事というのはデータをとればいいだけの話じゃなくて、実際にそれが大丈夫なのかどうか。もちろん先ほどおっしゃった、試験片をもっと密に調べるというのも大事です。中には十七年間全然試験をやっていないという炉もありますから、ですから、もう少しきちんと密に調べるというのは、私は当然必要なことだと思っているんです。
 しかし、それとともに、どのように安全かどうかを実証するか。十七年一カ月やっていないのは伊方二号ですけれども、そういうものもありますが、どのような実証試験をやっていくのか。アメリカがどういう安全解析をやっているのか。ここのところを明らかにした上で、日本としても、やはり老朽化した原発が本当に安全かどうかということをきちんと実験によって実証することによって確認するということが大事だと思うんですが、どういうことを考えておられますか。

○広瀬政府参考人 中性子照射脆化によります影響として厳しいものは、先生御指摘になられましたように、加圧水型原子炉の加圧熱衝撃事象、先ほど私申し上げました、低温で高圧力になる事態であるわけでございますが、この加圧熱衝撃事象に、内圧が高い状態で原子炉容器の内面が急冷され、容器の靱性が急冷によって低下をして、内圧と熱応力による高い荷重が発生するという事象が最も厳しい事象と想定をいたしております。この想定に対しまして、現在まで得られております監視試験のデータ等を用いて十分安全性を評価していくということが必要ではないかと思っております。
 現在まで、我が国では九つのプラントの中性子照射脆化の予測と監視試験データの突き合わせをしてきておりますが、特に加圧水型原子炉につきましてはこの予測がほぼ一致をしておりますので、今後さらに、このような評価手法を向上させていきたいというふうに考えております。

○吉井委員 それで、高温、高圧の状態から原発をとめるときにトラブっちゃいけませんから、緊急炉心冷却とか急冷するということもありますから、それにもつかということももちろん大事なんです。
 その実証試験も必要ですが、実際にこれだけ脆性遷移温度が上がってきた、劣化してきたといいますか老朽化してきた原発を、日本は地震国ですから、大規模地震のときにもつかどうかということについてちょうどいい装置が実はあったんですね、あったという過去形にするのは非常に残念なんですが。
 これは財団法人原子力発電機構が四国の多度津に大型の振動台、起震台を持っていました。これは、兵庫県にE—ディフェンスという新しい振動台をつくったからもう古い方をほうってしまおうということで、スクラップにして完全に解体してつぶしてしまったんですね。
 ところが、原発の容器というのは放射化されていますから、一度振動台で実験をやりますと、その装置そのものを管理区域にしないともう使えないんですね。ほかには新しいものを使ったりするわけにいかないんですね。ですから、これを解体する前に、今問題になっている脆化した、老朽化した原発の各機器について、何か、大型振動台を使って耐震性の試験、大型地震に相当するものが来たとしても脆性劣化した部分は大丈夫だという試験を行ったデータがあるのかどうか、伺います。

○広瀬政府参考人 多度津工学試験場の大型高性能振動台を用いた振動試験につきましては、安全上重要な大型設備のデータの取得を終えましたために、平成十六年度で終了をいたしました。
 これまで行いました試験の中に、高経年化したものを実際に用いた試験というものは行っておりません。

○吉井委員 これは、四年前の二〇〇二年の四月八日の決算委員会で、当時の佐々木保安院長が、原発の最終耐力をきちんと、地震が起こっても大丈夫かという耐力ですね、これをこの振動台等を使って実証する必要があるということを答弁していたんですが、それ以降も、結局一つも実験、実証しないままスクラップにしてしまったんです。私は、これは本当に大変なことをやってしまったと思うんです。
 そこで、あわせて伺っておきますが、通常の軽水炉と、そこで既にもう中性子で脆化している中でプルサーマルだといってプルトニウム燃料を燃やすこと、その場合で発生する高速中性子の数はどのように変化すると見込んでいらっしゃるか、伺います。

○広瀬政府参考人 プルサーマルにおきますMOX燃料の使用に伴いまして、プルトニウムの熱中性子の吸収がウランよりも大きいために、高速中性子束が若干増加をすることになります。原子炉容器等の中性子照射による脆化についても若干の影響が考えられますが、この高速中性子の増加量は数%程度であるというふうに見込んでおります。
 実際には、MOX燃料の炉心内の配置による影響が大きいために、一概にこの増減を論じることはできないと考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、MOX燃料を用いました場合でも、原子炉容器内に監視試験片を入れて定期的に取り出し、設備の健全性を確認していきたいと考えております。

○吉井委員 私も、データというのはどこでも一様とは思っていないんですよ。今おっしゃったように、試験片にしても置いてある場所によって当然データにばらつきが出てきます。そのことはわかった上でなんですが、昨日もレクチャーを受けておりましても、大体プルサーマル利用で五%ぐらい増加する、約五%というお話でした。
 それで、今でも中性子照射によって脆性劣化が進んでいるんです。軽水炉のままでもそうなんですが、プルサーマル利用でさらに中性子をたくさん照射させれば、さらにこの軽水炉の傷み方はひどくなってくる。
 冒頭言いましたように、熱いガラスのコップに冷たい水を入れたら割れるように、これは大変深刻な問題が出てくるわけです。新品の原発の話じゃなくて、老朽化した原発プルサーマルをやっていこうとする。脆性劣化が進んでいるのに、さらに壊れやすい事態をさらに速いスピードで進めようというやり方が、果たして本当に国民の皆さんにとって安全を守りますと言えるような話なのかどうかということが今一番問われている一つだと思うんです。
 そこで、私は、なぜそういう中で、安全の証明もなしに、脆性劣化している老朽原発プルサーマルをやろうとするのか、その方針を考えているのかを、エネ庁の方に伺っておきます。

○安達政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国原子力政策の基本でございますプルサーマルを含む核燃料サイクルの推進は、エネルギー資源に乏しい我が国にとって、エネルギー安全保障や地球環境問題への対応を考える上で不可欠な取り組みでございます。プルサーマルは、その一環をなすものとして着実に進めていくことが極めて重要であると考えております。
 国といたしましては、あくまでも安全の確保を大前提として、地元の方々を初め国民の皆様の御理解、御協力を得つつ、プルサーマルの実現に向けて今後とも一歩一歩着実に取り組んでまいる所存でございます。

○吉井委員 時間が参りましたので、せっかく大臣に来ていただくように言っておいて一言も聞かずでは悪いですから。申しわけないですね。
 今ずっとお聞きいただきましたように、日本の原発の中で、三十年、四十年と運転してきて、脆性劣化が進んできているんです。中性子をもっとふやすようなプルサーマルに走ったら、さらに危険を増すということははっきりしているんです。
 科学技術担当大臣として、また原子力を担当してもらっているんですが、研究開発の実験だけじゃなしに、長期間使用、老朽化したものの大規模地震時の安全性をどう実証していくのかとか、やはり、科学技術というものは国民の安全をどう守るかということについて根本的な取り組みをもっと強めていかないと、それ行けどんどんで、国の政策だからプルサーマルを進めればいいというふうな簡単なものじゃないということを考えなきゃいけないと思うんです。このことを最後に大臣に伺って、終わりにしたいと思います。

○松田国務大臣 吉井委員御指摘のとおり、原子力施設の安全性、今おっしゃったプルサーマルも含め、あるいは地震に対することも含め、安全性を確保していく、一番大事なことだと思います。特に、きょうお話を伺っていまして、高経年化といいますか、これにかかわる安全問題というのも極めて大事だと意識しております。
 したがいまして、委員御案内のとおりと思いますが、内閣府原子力安全委員会では、国による安全研究の推進というのを計画的に図っていくために、平成十六年七月に原子力の重点安全研究計画というものを策定いたしまして、同計画におきまして、材料劣化、高経年化対策技術を重点的に進める研究分野として位置づけておるところでございます。
 この計画に沿いまして、今後とも、当然のことでございますが、材料劣化あるいは高経年化対策研究というものを積極的に推進してまいりたいと思っておりますと同時に、今おっしゃいましたように、科学技術政策の面においても、つい先般、第三期の科学技術基本計画をつくらせていただき、その中で分野別推進戦略というものをつくらせていただきました。きょうお話しいただきました分野は、まさに国が責任を持ってやっていくべき重要研究開発課題ということで位置づけさせていただいておりまして、今後五年間、しっかりやっていくべきだということをはっきり決めさせていただいた分野でございます。
 私としても当然、きょう委員のお話をよく承りました。その意を踏まえまして、さらに努めていきたいと思っております。

○吉井委員 質問を終わります。