ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

4月6日 衆議院経産委員会

 只今さんにご指摘を戴いて、早速「衆議院TV」で当日の衆議院産経委員会での日本共産党・吉井英勝議員の質問とそれに対する答弁を見て、テキストにしてみた。
 とにかく、答弁に立った寺坂原子力安全保安院長、鈴木元原子力安全保安院長(現:原子力研究開発機構理事長)、班目原子力委員長の三人は実に良く喋るものの、全く責任感を持たない発言で、霞ヶ関が如何に国民に責任を持とうとしない人種であるのかを如実に語っている。
 最も重要な初期段階で霞ヶ関が全く東電を御し切れていなかったことが明白だ。これはどう考えても人災だということを証明している。訴訟の対象に充分なり得るのではないだろうか。
 長いけれど、ご覧いただきたい。(枝野も含めて答弁側は実に皆早口なのはなんでだろうか)

吉井英勝:
 日本共産党の吉井英勝です。まず最初に今回の地震津波で犠牲になった皆さんに哀悼の意を表したいと思います。それからまた今も大変な生活を余儀なくされている被災者の皆さんに心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 地震津波は間違いなく自然災害です。しかし、全電源喪失炉心溶融という問題については、実は私は2005年の質問趣意書以降、2006年の国会質問を通してずっとこの問題を取り上げてきたんです。対策を執らなきゃ駄目だといってきた。
 最初に寺坂原子力安全保安委員長に伺っておきますが、昨年5月26日の当委員会で、私の質問に対して、全電源喪失炉心溶融は論理的には考えうると答弁していました。今回の原発の事故は論理的なものではなくて、現実の物となったのではありませんか。

寺坂信昭原子力安全保安院委員長:
 昨年5月吉井委員からのご質問に対しまして、今のような答弁をしたことは事実でございます。原子力発電所におきましては複数の非常用ディーゼル発電機の起動、直流電源の活用、他号機からの電源の融通、そういった多重性や多様性をもった対応を図ることに依りまして、重要な事故に至ることがないような、そういう対策がなされてきたわけでございます。それぞれの要素につきまして、可能性が大きくはないという認識の元に、昨年の答弁を申し上げたわけでございます。現実に只今ご指摘のような事態が発生したわけです。そのような意味で当時の私の認識におきまして甘さがあったことは深く反省をしておるところでございます。

吉井英勝:
 次に鈴木原子力研究開発機構理事長に伺っておきたいのですが、実は、2006年ちょうどあなたが原子力安全保安委員長であった時にですね、3月1日の予算委員会で、私は津波の押し波とひき波、これによる機器冷却系の取水不能になる問題なども取り上げ、同年10月27日の質問では地震による鉄塔倒壊で外部電源喪失となり、内部電源が事故にあって、ディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなるという問題で、鈴木委員長のこの時点での予測を質問しました。全電源喪失の場合の原子炉停止後の機器冷却ができなくなる問題の質問に対しては、鈴木委員長は、同じバックアップを多重に持つ、ディーゼル発電機だけでなく、直流も持つ、それぞれ複数機を持つ、これを設計段階で確認している、と答えられたわけです。
 シビア・アクシデント・マネジメントの考えはなかったのだけれど、答弁ではこういっておられました。シビア・アクシデント・マネジメント(非常事態における管理)で、日本の場合には同じサイトに複数のプラント、つまり同じ原発敷地内にいくつも原発があるので、他のプラントに融通するとか、どっか故障して、全電源喪失になってもですね、他の電発から電源は融通して貰えるというお話でした。
 非常に多角的な対策を今事業者に求めている、耐震指針を改定した、更に基準を超えるような大きな地震が来たらどうなるか、事業者に評価してください、数字で確認してください、という方針だと答弁されました。
 全電源喪失というものは、要するに他の外部電源や同じ原発敷地内の他の原発からの融通や、その原発自身に設置してあるディーゼル発電機とバッテリーの組み合わせにより、設計上ちゃんとしてある、大丈夫だとお答えいただいてあります。3月11日に原発が停止したあと、すべての電源は喪失したんじゃありませんか。

鈴木篤之・日本原子力開発研究機構理事長:
 私が原子力安全委員長だった時のお話ですが、そのようにお答えいたしました。
 現実にこのような事故が起きておりまして、原子力に永年携わっておりましたものとして、国民の皆様に大変なご心配ご心労、ご迷惑をおかけしていることについて、大変申し訳ないと思っておりますし、私自身痛恨の極みでございます。
 考え方はその通りでございますが、具体的にはどの様な手をうつか、ということ、つまり多様性、多重性について、具体的にどの様な設備対応をとるか、運転管理にあたっての考えをとるかということが、私は今後事故を反省して、大いに考えなくてはならないことだと思います。例えば他の号機からの融通についていえばですね、今回のように、1から4につきましてはすべて同じように設計のものを、ディーゼル発電機を同じように設置してあったのでは、これは本来の意味での多重性にならないのは明らかでありまして、そういうことについてわれわれはよく反省しなくてはならない。そのように考えております。
(注:鈴木篤之:1942年生、東大工研-東大教授-原子力安全委員会委員長-財団法人エネルギー総合工学研究所理事長-2010.8現職)

吉井英勝:
 2002年5月に東京電力のアクシデント・マネジメント報告書が出ておりましたが、この中でも、要するにDGとバッテリーがあるんだということと、外部電源が喪失しても同じサイト内の他の原発から融通して貰えるんだということを東電自身が書いている。しかし、そうじゃないと。全電源喪失の場合にきちんと対応できることが必要なんだということを私はいったのですが、その全電源喪失の可能性への検討と、それへの対策を取らせないまま来てしまった、原発は大丈夫なんだと判断した、やはり当時の、今もまたお話がありましたが、答弁、考え方は間違っていたのではないかと思いますが、どうですか。

鈴木篤之・日本原子力開発研究機構理事長:
 え〜っとあの、お答え申し上げます。先生が仰るようにこのような事故が現実に発生した以上、過去のことが正しかったということはないんだと思います、ないと思いますが、考え方として、多様性、多重性が一番重要だということは変わりはないと思います。先ほど私が申し上げましたように、この考え方を実際に、設計であるとか、実際のアクションにそれを繋げるか、例えば今回も、5号機6号機においてはDGのひとつが、私の聞いているところではいわゆるガス冷却、空冷のものだったと、いうことで、それが辛うじて生きていたためになんとか、1-4に較べると5-6は状況がずいぶん変わっているということはあります、これが一種の多様性であります。いうことで、そういうことを今後十分に検討していかなきゃならないと考えております。

吉井英勝:
 他で動いたものがひとつあったといったって、それが融通できないわけですから、それは全然違っておったということをきちんとやはり考えなくてはならない。

 班目原子力委員長にお伺いしますが、今回の原発災害について、東電の社長も菅総理も想定外のことだったと発言をしておりました。NRTは30年前に実験して検討していましたし、各国の核事故対策、シビア・アクシデント・マネジメントの中では全電源喪失というのは考えていたのではありませんか。

班目春樹・原子力安全委員長
先生の仰る通り、各国ではこの問題をかなり注視していたのは事実であります。
(注:班目春樹:1948年生、東大工機-東芝-東大・工1975〜2010-原子力安全委員-委員長)

吉井英勝:
 ついては伺っておきたいのですが、ジェイネス(JNES原子力安全基盤機構のことか)の「こうくうきしょ(?)」ですね、昨年の10月に全電源喪失の対策と。これによると0.6時間後には燃料が落下する、1.8時間後には圧力容器が破損する。16.5時間後には格納容器の加温による破損、この破損の仕方はいろいろありますがね、爆発に破損することもいろいろな形があり得ることですが、それはジェイネスが昨年の10月にに出しているんですね、それに対してどの様に指示してこられたのか、伺っておきたいと思います。

班目春樹・原子力安全委員長
 原子力安全委員会としてはこの全電源喪失という事態を非常に重く思っております。アクシデント・マネジメント対策というものを事業者に自らキチンと定めさせており、それを保安院を通じてわれわれも伺っております。従ってそれに沿ってキチンとやるようにという指示を私共としては進言してきた、ということでございます。

吉井英勝:
 シビア・アクシデント・マネジメントをちゃんとやらせると、実際に事故があった時にですね、シビア・アクシデント・マニュアルですね、それに基づいてキチンと対応させるということをやらせなくてはいけないと思うですよ。それをやれば全電源喪失という事態はおこらないようにさせなくてはならないのですが、起こった場合にでも直ちに緊急に対応するというマニュアルがないと全くお話にならないと思いますが、斑目委員長にお伺いしておきたいのですが、地震津波があろうがなかろうが、原発ではいかなる場合にも今回のような事態を起こさせないというのが、シビア・アクシデント・マネジメントとして全電源喪失を考えていかなる場合においても、今回のような事態においても起こさせないということが本来の国の原子力行政であり、原子力安全委員会の使命ではないと思うのですが、委員長如何ですか。

班目春樹・原子力安全委員長
 まさに仰る通りだと思います。従いまして、まぁ、今回の事故を深く反省し、先生の仰る通り二度と今回のこのような事故が起きないように指導して参りたいと思っております。

吉井英勝:
 他の原発でこのようなことが次々と起こると大変な話になって参りますが、海江田大臣、想定外ということばはですね、これまで原発の事故に際してはよく使われているんです。
 2007年7月16日の新潟県中越沖地震によって柏崎刈羽電発においては約300カ所を超える事故、故障、破損を生じました。これもね、あれは想定外だったという話なんです、最初に聴かれた。
 地震津波津波については今回のように押し波による被害が多いのですが、遠くの地震ですと、ひき波によって冷却水の取水が取れないという問題が出るのですが、私はこれも2005年2006年に何度も指摘してきているんです。
 3月11日のこの地震から1時間後の15時42分には全電源喪失による炉心溶融の可能性を認めながらですね、なぜ東京電力に早い時点で、指導、六規制法による命令、指導をしなかったのか、あるいは指示したのだけれど、東京電力が指示に従わなかったのか、どうなっているんですか。

海江田万里経済産業大臣
 想定外ということばは、私も使わないようにしております。既に想定外ということを過去にいって、そしてそれの想定を超えるものが現実に起こったわけですから、それを使うべきではないと思っております。
 東京電力の初期の動きですが、記憶の中にあるのは、マグニチュードが最初8.8という数字がありましたから、激烈な強い地震が起きましたから、当然、私は原子力が平気かと関心を持ちまして、東京電力からはすべて停止をしたという報告がありました。
 むしろ最初に私の元に東京電力から入ってきました報告は、大規模な停電が生じているという、夕食の時間でございました、大規模な停電をしたということがまず入って参りまして、原子炉はきちっと停止したという報告が入ってきました。安心をしましたが、その後の事態というものはご指摘の通りで、私共がいよいよこれが原子力の状況が深刻であるというのは、夕刻、
どのくらいの時間ですか、私は官邸にいきまして、そのまま危機センターの中に入っていきまして、8時ぐらいではないかと思いますが、私の記憶に従った話でしたので、あとでしっかりと確かめなくてはなりませんけれど、ベントの問題、海水の注水という問題、そうした指示は日を跨いででございますが、まずベントの指示を出したところでございます。

吉井英勝:
 1時間後、地震が起こって、すぐに全電源喪失による炉心溶融の可能性を認めていたわけです。さっきもジェイネスの報告書をご紹介しました。0.6時間後には燃料落下、1.8時間後には圧力容器の破損、16.5時間後には格納容器の加温破損の可能性が有りと、ジェイネスの方でちゃんと報告書を纏めていたわけですね、
 だから、ただ原発が止まったから安心というわけではないわけですよね、自然崩壊熱を取り去らない限り、どんどん温度が上がっていくのは当たり前の話ですから、そうすると直ちに東京電力に指導するなり、あるいは六規制法に基づく必要な命令と下したのかということと、東電がそれに従わなかったのかということを聞いている。そのことだけです。

海江田万里経済産業大臣
 法律に基づく命令というものは日を跨いでからのことでございます。

吉井英勝:
 その時点ではやっていなかったということですが、班目委員長、ご専門ですから伺っておきたいのですが、マグニチュード9の地震による、まず原発の機器、痛みはどういう状況なのか、津波によるDGによる健全性はどうなっているのか、
燃料タンクや配管は大丈夫なのか、
機器冷却系の熱交換機と配管は大丈夫なのか、そもそも制御棒が100%入ったのかとかですね、
地震等で途中で止まっておりますと、一応止まった形になっているんだけれど、部分的には臨界状態で中性子が出てくるとか、あり得るわけですね。そういう基礎的なデーターが地震の後班目委員長の元にちゃんと届いたのか、現在これらについてこういうデーターはきちんと届いているのか。

班目春樹・原子力安全委員長
 当日の私の行動ですが。夕方になって立ち上がりました対策本部に緊急参集。その前、少なくとも制御棒は全部挿入されて炉は止まったという報告を受けている。その他の情報についてでありますが、そのあと官邸に詰めておりまして、やや情報から離れてしまった。しかし、少なくても最低限の知識として、バッテリーさえ生きていれば、1号だったらアイソレーションコンデンサー、2号3号であればRCIC(?)というものが生きていれば、しばらくの間は持つという知識は持っておりました。

吉井英勝:
 一応制御棒が入ったという話。これはまぁ入ったから止まった。それはわかる。しかし、巨大地震によってですね100%一本でも二本でも入りきらなかった時には部分的には臨界が残ることはあり得るんですよね。
 だから中性子が測定されたという話も出てきたということはそういうことだろうと思うのですが、原子炉停止後の核燃料の自然崩壊熱による温度上昇をさけるために機器冷却系が働かなくてはならないのですが、まず地震送電鉄塔が破損したと、保安院から戴いた資料で倒壊したと。外部電源が駄目と。内部電源を構成するDGが津波で破損した。なんとかいけていたバッテリーの方も、3月11日の夜の10時頃にはダウンのほうこうへ、時間がきたら駄目になりますから。外部から持ちこんだ電源車からの電源接続もなかなかうまくいかない、つまり、機器冷却系が機能しないということで、当日の22時50分には炉心が露出する、23時50分に燃料被服菅が破損する、24時50分には燃料溶融の可能性有りと、保安院は予想したと発表されていますが、班目委員長と寺坂原子力保安委員長はこれは深刻な事態であるとそう考えて、危機感を持って望まれたのか、なんとかなると楽観的であったのか伺いたい。

班目春樹・原子力安全委員長
 誠に申しわけありませんが、ジェイネスによる解析結果というものを当時持ち合わせておりませんでした。
 従って時間的なことでどれだけ緊急を要しているかということを当時把握していませんでした。しかしながらアイソレーションコンデンサーとか、RCIC、最初RCICが2号機で止まっていると聞いた時はかなりびっくりして、飛び上がったくらいでありますが、危機的な状況にあると云うことは良く認識しているので、直ちにアクシデント・マネジメント対策として定められている行動に移るようにと進言したところでございます。

寺坂信昭原子力安全保安院委員長:
 全電源喪失状態になって非常に深刻な状況になっていることは認識しておりました、一方でアイソレーションコンデンサー、あるいはRCICがまだ機能していると、ま、そういうこともございまして、その間にしっかりと対応を重ねていかなくてはならないとそういう意識の元に行動したのですが、結果におきまして、そこが行き届かなかったということは深く感じているところでございます。

吉井英勝:
 こういう場合ですね、要するに蒸気を抜いて圧力を下げることと、外から、圧力が高ければ元々冷却水も入らないわけですが、冷却水を注入して温度を下げるというとりあえず二つのことが大事になりますね。
 大体1000℃をこえますと水とジルコニウムの化学反応が始まって発熱反応ですから、
どんどんジルコニウムの被覆管が溶け出すというのは当然のことですし、どうじにそれは
水素が発生するということですから、炉心が一部でも冷却水の上に出てしまうと更に反応が激しくなって水素が出ると。
スタックから放出すること、また建屋内の水素に関しましては、建屋の上に設置してあるはずの、尤もこれはGEの最初のものですからなかったのかも知れませんが、水素ガス抜き用の弁を開けるあるいは建屋内に窒素ガスを入れて空気をパージする、置き換えることが大事なことだと思うのですが、いずれにしても圧力を下げることと、直ちに真水がよいのですが、真水がふそくすればですね、海水を注入してでも炉心を冷やさなくてはならない、炉心を露出させないということを東電幹部が断行するか、政府が東電に断行させるか、最も厳しい局面だったと思うのですが、午後10時から翌日にかけての数時間というのは非常に厳しい局面だったと思うのですが、班目委員長はどういう判断を下して、政府や東京電力に対していかなる意見具申をしたのか。

班目春樹・原子力安全委員長
 とにかく真っ先に考えたことは燃料を溶融させないこと、燃料を冷やさなくてはならない、これはアクシデント・マネジメント対策通りにやれば防げるはずだと、いうことでとにかくそれをしなさい、ついては格納容器を・・・も、ベンティングももちろん必要ですと進言している。

吉井英勝:
 一番大事な局面で、東京電力が圧力を下げるための作業に入ることと、炉心が露出しないように注水をすることをやるかやらないかという非常に大事な局面だった。
 私は委員長が本部に詰められて、意見を述べられた時は最も厳しい判断をしなくてはならない時であったと思うのですが、もう一度確認しておきたいと思います。

班目春樹・原子力安全委員長
それが何時何分だったかという時間は憶えておりませんが、まさにそういう一番厳しい時期にそう進言しております。

吉井英勝:
 委員長と政府の対策委員長である菅総理の二人はその時に本部から4時間にいなくなったんですね。これはまちがいないですね。

班目春樹・原子力安全委員長
 未明にヘリコプターで現地に参りました。

吉井英勝:
 大事な時に判断をする責任者と、意見を専門的に具申しなくてはならない専門的に助言しなくてはならない人が二人ともいなかったのは重大な問題だと思うのです。地震津波は天然災害ですが、しかし、ひとつは全電源喪失による炉心溶融の危険性を私が何度も指摘してきたのに対策を取らない、耳を傾けてこなかったのはひとつの重要な問題だ。
二つ目に最も厳しい対策を断行させるということをやりきらないで、炉心溶融を招いてしまった、大気も海水も土壌も放射能汚染してしまった。多くの人々を長期にわたる避難民の状態に置いて、遠く離れた農業者の漁業者の経営を壊してしまった、首都圏の乳幼児の飲み水まで汚染してしまった。この点で、私は海江田大臣にお伺いするのですが、今回の事故は人災ではないですか。

海江田万里経済産業大臣
 人災かどうかというお答えをする前に、先ほど私の記憶でお答えを致しましたが、11日14時46分地震発生で、同日19:03に原子力緊急事態を宣言し、この時点では原子炉が大変なことになっているという認識もっていたということです。
 班目委員長を初めとした人たちがいなかったということですが、その前の段階でまずベントだと、ベントをやって、委員一番お詳しいですから、ウェット・ベントですから放射性の物質が全くでないということではありませんが、水を通しますので、提言された、それが出るのだという指示をして、その指示を既に発出して、そのあと避難命令ですね、待避と避難の指示をしたところで、その意味ではそういう指示をしたあとで、やはり現地を見ないとということで、げんちにいったと。さいごになりましたけれど、人災かどうかということはこの委員会で、もちろん資料の保存ということもしっかり命じてございますから、そういう資料を基にして、そして、一体何が原因で、そして、事故がどういう経過を辿ってこういうことになったかということははっきりと明らかにしていきたいと思っております。

吉井英勝:
 検証は検証として行うとして、自然災害と今回の原発事故は事前に手を打てばあぁいう事態にならずに済んでるんですよ。その点ではですね、自然災害であった地震津波以降のやはり十数時間というのは極めて緊張した重大な時間であったのに、キチンとした対応をしなかったのは人災だという自覚をやはり私は持たなきゃいけないと思う。
 枝野長官に伺っておきますが、12日の1時30分に首相と経産大臣の了解を得て、ベントを急ぐように指示したとされていますが、圧力を抜かないと、圧力容器の破壊につながる、同時に圧力が高いと冷却水を原子炉に入れることができない、という事態、即ち炉心溶融が危険な状態に進むと認識されて、首相、官房長官ははっきり東京電力に対してはっきりと圧力容器内の圧力を下げろ、海水を含めて冷却水を注入しろといわれたのかどうか、経産大臣も当然、・・法だけでなくて六規制法に従って命令したのかが問われてくるのですが、枝野長官にお伺いします。

枝野幸男官房長官
 震災発生の当日は震災そのものに対するまずは救命・救難オペレーションとして、原子力発電所のオペレーションの二つの対応を政府として行っておりました。
海江田大臣においてはもっぱら原子力発電所の対応をしていただきましたが、私は官房長官という立場ですので、両方を見ておりましたので、震災直接のものについては松本大臣を軸にして、私は両方見ておりましたので、正確な時間的やりとりは私自身の記憶では正確ではございませんが、この間、今ご指摘いただきました経緯の中で電源の回復に向けた努力、電源が回復しないという状況の中で、ベントによって気圧を下げるという努力、水を注入するという努力、こうした努力が少なくとも今ご指摘を戴いた原子力緊急事態宣言が出された以降順次行われていたと、それに海江田大臣を中心に時には総理も加わった中でそうした指示と申しますか、東京電力に対してそういうことを勧めていくようにと、そして東京電力の側からはそうした努力を勧めているという報告がなされながら、実際には電源は回復はしない、ベントもなされ、スタートをする段階に至らない、水を入れるということがなされないという状況が一定の時間続いておりまして、なぜなのかと海江田大臣、総理が繰り返し指摘を続け、いそがなければいけないではないかと、遅くとも午前1時半の段階で行っていたということであります。

吉井英勝:
 午前1時半にそれをいわれてですね、東京電力がしなかったら、やらせ切らなければいけないわけですよ。炉心溶融になって今日の事態を迎えているわけですね。だから、電源喪失を招いて、キチンとしなくていけない時に総理と班目委員長が4時間半、空白の時間を作っただけでなくて、前日の10時に判断してから翌日の7時45分までは今官房長官が仰ったいろんな指示をしたり、法律にしたがった対応ですね、
 しかし、12日の7時45分から17時16分まで空白の約10時間がある。12日の20時05分になってようやく六規制法に従った命令を大臣が出しているんですよ。
 だからね、これだけ深刻な問題だということが明らかなのにきちんとした対応をしなかったという責任は極めて大きいものがある。
 東京電力がいうことを聞かなかったのは悪いんですよ。それをまたやらせなくてはならないのですよ、その対応が今日の重大な事態を招いているということをキチンと認識しておかなくてはならない。
 枝野官房長官に、積極的な提案をしておきたい。
 毎日放射能を帯びた空気、蒸気が放出されております。外国の協力も大事なのですが、全国に多くの実験物理や実験科学、流体力学や伝熱光学の研究者や原子炉設計をしたOBの技術者を含めてがたくさんいるんですよ。情報不足で、提言したくても提言できる窓口がない。受け付けて貰えるところがないという声が上がっている。これは研究者番号を伝えて貰ってですね、意見を聞かせて貰えるような受付部門を作ってですね、やはり日本の叡智を総結集してなんとしても今の原発の深刻な状態からですね、速やかに冷却を勧め、放射能の放出を抑えることを考える体制を作るべきだ。

枝野幸男官房長官
 ご指摘の通りこの事態を収束するためには原子炉、原子力関連の専門家の皆さんに留まらず様々な方々の叡智を結集することが必要だと思っております。
安全委員会に留まらず、様々な専門家の皆さんにお知恵を借りて勧めてきているのですが、ご提言の通りですね、いろいろなご意見をお持ちになりながらどこにそれを伝えたいと思ってもですね、それがないという方のお知恵をお借りするやり方については今の語ご提言を踏まえてですね、関係当局と相談したいと思います。

吉井英勝:
 これは研究者番号を伝えたらできる話。
 官房長官にお伺いしようとしたら時間がきたのでおいておきますが、なぜこういう深刻な事態になったのか、ここには国も電力も原子力委員会もみんな原発安全神話を信仰してしまって原発利益共同体を築いて、情報公開をしないで国民の安全より、企業利益第一に走ったというところにあると思っています。
 アメリカでTMIのあと、弁護士が長になって調査委員会を立ち上げて、安全への思い込みこそが最大のTMIの事故の原因であったという報告書を纏めていますが、思い込みと秘密主義こそが今回の重大な事故を起こした要因だと思います。
 最後に田中委員長、私は東京電力会長の出席を求めて福島原発事故の解明と放射能汚染による国民生活の危機、計画停電など電気事業法に関わる問題について、参考人として会長の出席を求めて集中的な真偽をやりたいと思うがどうですか。
 基本的なデーターを全国民に公表する、公開することこそが最大の対応策であります。これを訴えたい。

 
 ちなみにこのやりとりを朝日新聞がどの様に報じているのかについてみると興味深い。この記事では三人が三人とも、非常に反省し、深謝しているように見えるけれど、委員会での発言を詳しく見るととてもそうは思えない。ことばにはしているものの、心がこもっているのか、責任を感じて本当に今にも土下座でもしようかと思えるほどかと思ったらそれは大間違いで、如何にも霞ヶ関の人間そのもので、できるだけ言質を取られないように発言していることがわかる。本当にマスコミは事実を伝えてはいないというお手本のようである。

 東京電力福島第一原子力発電所で深刻なトラブルを招いた、非常用を含めた電源喪失事故。経済産業省原子力安全・保安院原子力安全委員会のトップらが、6日の衆院経済産業委員会で、電源喪失を「想定外」としていた過去の認識について陳謝した。
 この日、これまでに原発問題を国会で追及してきた吉井英勝衆院議員(共産)が質問。原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は昨年5月の同委で、電源喪失は「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計はしている」と発言していたが、この日は「当時の認識について甘さがあったことは深く反省をしている」と述べた。
 これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた班目春樹・原子力安全委員長は「事故を深く反省し、二度とこのようなことが起こらないようにしたい」と答えた。
 また、過去に同様の見解を示してきた前原子力安全委員長(現・日本原子力研究開発機構理事長)の鈴木篤之氏も「国民の皆様に大変申し訳ないと思っている。痛恨の極み」。電源喪失の事態に備えてこなかったことは「正しくなかった」とした。(野口陽)(Asahi.com 2011年4月7日0時25分)