ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

罰金

 突然のことで申し訳ないのだけれど、こんなことを想い出したので書いておく。豪州Sydneyの郊外とシティーを結んでいるCity Railはかつて切符も買わずに飛び乗って、降りる駅で自己申告をして料金を払うということが許されていた。
 というのは郊外の駅だと、切符を売る窓口と自販機はあるのだけれど、改札に人がいないことが良くあった。すると、朝なんぞ急いでいる時に電車が入ってきたら走っていってそのまま乗っていた。
 ところがある日「切符を持たずに乗った人はこの日から100ドルの罰金とする」というポスターが貼り出された。その期限から一ヶ月位前からだっただろうか。割と、のんびり、ルーズに暮らしているオージーがそんなに危機感をあらわにすることもなく、その月曜日がやってきた。
 その日の朝、市内の私が降りる駅では改札前に置かれた机の上で多くの乗客が列をなしていた。一体何事かと思ったら、City Railは切符なしで乗車してきた客から本気になって罰金を徴収していたのである。なんとその額は100ドルだ。みんな顔面蒼白だ。本当に払わせたのか、どうだったのかは確認していないけれど、取り組む姿勢だけはまともだった。それからは朝晩のラッシュ時に、私が乗る郊外の駅ではプラットフォームに降りる階段の入り口に駅員がひとり立つことになった。彼がたったひとりで全部チェックできていたのかどうかは知らない。週間チケットを見せる乗客がずるをしているわけはないという、そこは信頼ベースなのか。
 なにしろ選挙で投票に行かなかったら罰金刑が科せられるというお国柄だから、真剣にやる時はやるのだろう。電車の中に時として神出鬼没に検察係が現れる。そんな時にも切符を持っていないとがっぽりやられるという噂だった。日頃はルーズなんだけれど、やる時はやるというシステムは、取り敢えずちゃんとルールに従うという行動をさせる上手い手なんだろうか。
 そうそうCity Railといえば思い出すのだけれど、週末になるとしょっちゅう線路のメンテナンスが行われて、電車がお休みになっちまう。そんな時は電車の代わりに代替えのバスが走る。電車の駅に停まって電車に沿った道路を走る。ところが不思議なことにこのバスはただなのだ。電車が走っていたら、金を払わなくては乗れないのに、このバスになった途端にただなのは理解ができない。初めてそんなバスに乗った時に、ドライヴァーに「いくらなんだ?」と聞いたら彼は「100ドルでも貰おうか」といったので、払わなくて良いことを察したのだけれど、これ不思議なのだ。