ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

どぴーかん

 一夜が明けると、いやぁ、こんな良い天気ははじめてかも知れないな。どんな格好をしていけばよいのかわからないぞ。
 わからないわけだ。というのは結局今日も昼過ぎから怪しげな雲がわいて出たと思ったらとうとう雨。あとは一日中降っているのかいないのかわからないくらいの雨がいつまでも続く。
 ハルシュタットという、それはそれは美しい湖の畔にある村に遊びに来た。この村は日本でも美しい家並みと湖水で有名だけれど、それは日本だけの話ではないらしくて、世界各地からこの湖を目指して観光客が次から次に押し寄せてくる。あげくに今日は聖霊降臨節のお休みだから地元や隣国からもやってくる。
 なぜか中国からやってくる若いカップルは必ず女性にあっちやこっちで様々なポーズをとらせては撮影に及んでいる。なにか映画か、テレビドラマがここで撮影されたのではないかと思わせるくらいにやってきている。韓国、日本からもたくさんやってくるし、インドあたりからもやってきている。
 こういう次から次に観光客が訪れる歴史のある街の教会は実に困難に直面しているようだ。この村にはカトリックプロテスタントの教会がすぐ近くにある。プロテスタント宗教改革でできたくらいなんだから、とてもすっきりしているのに対して、カトリックは祭壇から説教台、天井、パイプオルガンと写真の記録に残したい、あるいはじっくりみたい材料がある。すると礼拝があっても扉を開けてくる観光客があとを絶たないものと見える。ここのカトリック教会に入る階段には「サービス中はヴィジターのご訪問はご遠慮ください」と書かれている。今日は月曜日だけれど、最初に書いたように聖霊降臨節のお休みだから、ここのカトリック教会でも10時になると鐘楼の鐘が賑やかに鳴り続け、辻々からおじいさんおばあさんをはじめとして、次々に教会に集まってくる。その代わりにそれまで入ることのできたヴィジターの人たちが中から出てくる。
 そこに日本人の観光客がやってきた。会衆の一人が「これから礼拝だからご遠慮ください」といったけれど、彼女は理解できないのか、全く意に介さない。しかし、係の方が扉の取っ手に札(多分礼拝中と表記)をかけて扉を閉める。
 そのとき、その日本人の女性がなんといったかというと「何で閉め出すのよ!」だったのだ。周りの状況を見極め、想像を働かせたら、言葉がわからなくてもこれは理解できるはずである。残念ながら相手の立場に立って考えるという能力は、実は一朝一夕に身につくものではない。そしてそういう立場に立つということは実はとても面倒くさいもので、自分の好き勝手に行動していたのでは訓練されないのだ。そしてこの訓練に関しては私たちの社会はかなり遅れているという気がしてならない。私も若いときにサボったせいで未だに未熟さから脱しきれない。
 この地の産業である岩塩坑の観光ツアーに参加した。結構おもしろいツアーだった。