ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

暑さの中

 とにかく帰国以来暑い暑い、とてつもなく暑い日々が続いて、あたかも私を懲らしめているような気がするのだけれど、それは間違いなのだろうか。「これでもか、これでもか、うふふふふ」という声がどこかから聞こえてきている様な気がするのである。
 そんな中、上野の東京文化会館小ホールに恒例の「アンサンブル・コルディエ」の定期演奏会 Vol.28に出掛けてきた。
 夏至直後の上野の山は午後7時近くになってもまだまだ明るくて、冬に較べたら本当に日が長いことを感じるのである。自由通路には様々な人たちが三々五々座っていて、ひと目見ただけでも、皆さんそれぞれ紆余曲折があって、変化に充ち満ちた人生を送ってきているような気がするのだ。ひょっとしてそんなチャンスがあってこれまでの人生をお聴きすることができたら、きっと興味津々な話が次から次に出てくるのではないだろうか。興味本位に人の人生に踏み込むんじゃない!と怒られるに決まっているけれど。
 ホールに入ってみると、いつもの演奏会では真ん中に鎮座ましましているのはチェンバロと決まったものなのだけれど、今日は違っていた。小振りな携帯用のようなパイプオルガンが据えられているのだ。あとで音楽監督の大塚直哉の話だとパイプそのものが鉛と錫の合金でできているというので、そりゃ重いに決まっているのだけれど。その重さ故に運搬は大変なんだそうだ(全然携帯用じゃないな)。それよりももっと面白かったのは、かつての名器といわれるオルガンをすっかりコピーするという楽器づくりが当然にあって、それは木の部分の削り跡から加工ツールを自作して造るというほどなのだという。問題はパイプの材質にもあって、鉛の板を入手しようとすると今では純度100%の材料が容易に入手できてしまうのだけれど、当時の99.999%の純度の板をわざわざ造らせるというのである。気が遠くなるような話である。休憩中に写真を撮ろうとする人(私を含めて)多し。
 今日の演奏はエキサイティングで面白かった。後半はA.ドヴォルジャークが14歳の時の作品なんだそうで、弦楽5重奏曲第2番ト長調 op.77でござる。面白かったなぁ、これは。