ほぼ足りてまだ欲 その先

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訃報

 伊良部秀輝がロス・エンジェリスで首をつって自殺した。42歳だという。まだ、そんなに若かったのか。昔からいろいろだった。彼がヤンキースから日本に帰ってきて、阪神でまた投げた時、テレビで観ていたら解説者(誰だか知らない)が彼が投げる時に左足が上からどんと踏むのではなくて、手前から地面すれすれを踏み込んでいくのが今の大リーガーの傾向なんだというのを聴いて、さすがに大リーグで30勝以上した投手は違うんだなぁと見入った記憶がある。
 それから先は彼の名前を聞く時は現役を退いたプレイヤーの零落物語そのものだった。呑み屋でぶん殴っただとか、酒を喰らって運転していたとか。Los Angelesの日本人社会の中でどんな存在だったのだろうか。絶頂期の記憶が常にぐるぐると彼の中を走り回っていたんだろうなぁ。
 しかし、実はどんな人も自分の絶頂期からどんどん下っていくのが人生なのだよ。
 あれほど話を聴いてくれた人たちはもうどこにもいないし、年賀状はどんどん元の数に戻っていくし、経済的にもどんどん社会へ出たばかりの頃に戻っていく・・いや、生まれた時の状態に戻っていくのだろう。しかし、とても残念なことに人間は絶頂期にあってはそんなことが起こるとは思うことがない。想像もできなかったし、そんな想像をする時間すらなかった。それに気がつく人もあれば、気がつかないままに通り過ぎてしまう人もいるのだけれど、どんな人でも必ずそこに差し掛かる。それまでの人生というものは、その時期を堪えるための力を造るためのものだったのかも知れないな。