ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

NHKスペシャル「東京スカイツリー 世界最難関への挑戦」

 今年の7月24日に放送された番組の再放送があって、何の気なしにチャンネルを合わせてしまったのだけれど、引き込まれてとうとう最後まで見てしまった。
 この複雑な構造を実現するためには鉄骨を三次元的に組み合わせ、限りなく精度を高めた加工技術が必要で、その品質管理は大変な労力を費やす必要がある。
 この鉄骨加工を見ていて、思いだしたのは石油掘削用のリグや、かつて船橋にあった「天に唾する技術」といわれた人工スキー場のザウスの鉄骨だ。現在では鉄骨の設計にしても、製作にしても、とことんコンピューターによる技術を取り入れたシステムの上にあるから数字上小数点2ケタの精度を要求する図面を出図することができるし、そうした計測器も、加工機械も創り出すことができてくるから、不可能ではない。
 それに対して20年も昔ではそこの部分に大きな差がある。だから、スカイツリーの方が簡単なのかといったら、勿論そんなことはない。この種の構造物は常にひとつひとつが新しい挑戦になる。どこかで練習をすることはできないし、現場で学習をしながらまた新たな方法や治具を産み出していくことになる。
 考えられない事態、3.11の地震に遭遇しながら構造の設置をようやく終わった時に最上部で記念撮影し、手を締めたアンテナのリフトアップ部隊が万歳を叫んだ気持ちは痛いほど良くわかる。プロジェクトを完成することのできた喜びというものは実に良いものだ。昔の元気時代の仕事をあれやこれや思いだし、良い仕事をやらせて貰ったものだと、何回も達成感を味あわせて貰ったことを嬉しく思う。多くの若者がこれからの人生の中で、こうした達成感を得ることができることを願う。
 唯一の問題は、果たしてそのプロジェクトが本当にこの社会に必要なものなのか、ひょとしたらなにかの利権のやりとりの結果生じたプロジェクトではないのかという点だけなのだ。