ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

寝ていられない

 偶然のことながら、Googleでキーワードを検索していた。豪州に関するキーワードである。すると、ある新聞記事が引っかかってきた。ところが良く見るとこのサイトが単なる新聞記事を引用したものではなかった。Australia National Libraryのサイトなんである。(こちら)。国立図書館といったら、わが世界に冠たる、どこに出しても恥ずかしくない綿々と繋がる古くからの歴史に燦然と輝く(そんなに云わなくても良い?)日本国にも東京と関西(どこだか知らない)に国立国会図書館なるものがある。ここのサイトだって近年目を見張るほど発展している。
 しかし、この豪州国立図書館のサイトには豪州の新聞の記事検索ができ、しかも、マイクロフィルム化されている記事をそのままネット上で見ることができる。見ることができるだけではなくて、そのテキストを取り出したり、写真を取り出したりができるのだ。戦後豪州の新聞記事を細かく調べていたことのある私はすっかり驚いてしまった。かつてはNSW州立図書館にいって、日がな一日マイクロフィルム化されているキーワードをメモって、該当するマイクロフィルムを取りだし、リーダーに撒いて、ガラガラと滑らせ、一ページごとに送っては記事を見付けたら、高い、高いコピー代を払ってその場でコピーをするか、短い記事だったらパソコンにテキストで打ち込んでファイル化していた。そのすべてが今まさに、自宅の私の散らかった机の上で、がんがんサイモンとガーファンクルをかけたり、Oscar Petersonのうなり声を響かせながら作業することができるのだ。
 この驚くべき公開性は本当に凄い。豪州の政府機関はかつてから豪州統計局(ABS=Australian Bureau of Stastics)を初め資料を公開してきた。まだインターネットが端緒についたばかりの頃からこれは 公開されていた。なにしろ、ABSは「こういう条件でデーターを取り出せないか」と持ちかけると、それなら、これだけの費用を負担してくれれば出す、という商売もやっていた。毎年発行されている「Australian Year Book」という分厚い印刷物があるのだけれど、これも10数年前から印刷物だけでなくCDでも売り出されるようになった。しかし、ウェブ上ではpdfで項目ごとにダウンロードすることは可能で、これはもちろん無料。
 Australian Institute of Health and Welfareという機関は毎年何種類もの健康・福祉系の統計資料、予測・分析等の研究報告書、あるいは啓蒙書を完成すると印刷物としても有料で刊行するが同時にサイトでは誰でも自由にダウンロードすることができるように公開されていて、こちらはもちろん無料である。かつてはpdfだけでフォーマットされていたのだけれど、今ではテキストでもダウンロードできるようになっている。引用がとても簡単になるし、データーの利用も可能だ。
 そもそも(また大仰に振りかざす)公的文書として国民の(いや国民に限っていないわけだけれど)利用に供するために尽力するという姿勢が全く違っている。使わせてやるけれど、これはお前ら下々には見せちゃやらないという、大仰な、大威張りなわが高級官僚のスタンスとなんでこんなに違うのだろうか。なにがその根底にあるのだろうか。
 はなはだ残念ながらわが母校のわが学部ではその紀要ですら、pdf化されることがない。無断盗用されてたまるか状態である。盗用したい奴にはさせれば良いではないか。困るのは本人である。

 そんなわけでこんな面白い宝箱をあけてしまったので、昨日から寝ている暇がない。