1942年8月14日
この前日、東京から放送されている日本軍のプロパガンダ放送で喋っているのがどうやら豪州人の元アナウンサーだと判明したと、情報大臣が発表し、当人の奥さんのコメントともに全国に配信された。それでこの日の全豪の各新聞は一斉にこの事実を報道した。
残されていた録音盤と比較して明らかに彼の声だとわかったという事実とともに、彼がどこか他で録音させられた放送ではないかという意見に対しても、途中で発音ミスがあったものを後に訂正しているので、生放送だっただろうと推測されている。
17日のSydney Morning Heraldには早くも読者の投稿として「東京からの放送でそんなに簡単に聞き分けられるものか疑問だ」という記事が掲載されている。
それにしても、戦争が始まってまだ一年も経っていないこの時期に早くもいわゆる戦略放送が始まっていたわけだ。
もう一度これを読んでみようか。
日の丸アワー―対米謀略放送物語 (1979年) (中公新書)
- 作者: 池田徳真
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これを読むと直ぐにわかることなのだけれど、当時の日の丸アワー放送では録音機が存在しておらず常に生放送だったということだ。
そしてこの本の16頁には豪州人によるニュース解説放送は昭和17年4月、つまり1942年4月から始まっていて、彼が放送しているのだと豪州で新聞記事になるまでにはすでに4ヶ月が経過していたことがわかる。