ほぼ足りてまだ欲 その先

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菅直人に押しつける

 いわゆる民間事故調の報告書というのは読んでいないから中身は報道機関が伝えるだけでしか知らないが、あれが発表された時に菅(当時の首相)が口を出して混乱したと報じられていたことに、現場は粛々と対応できていたのに菅直人一人がパニックに陥って彼らの冷静な対応に水を差して邪魔ばかりしていたのかという印象を持った。そうか、彼は確か東京工大の出身だから知識を振り回したんだろうかと思った。
 しかし、ヒヤリングで斑目春樹原子力安全委員長が「私は当時、パニックに陥っていたのか、確たる記憶がないのですが」といいながら結構対応しているのを聴いていて、そんな簡単にパニックに陥っちゃうような人が安全委員長なのかと思ったらとんでもない話なんだなぁと感じた。つまり菅直人一人がそうだったことにならないじゃないか。
 BBCの番組やNHKスペシャルを見ると、現場は水素爆発で総べて終わったと感じていたらしいから、パニクっても仕方がないだろう。しかし、菅直人が「あそこで全員避難するという東電の主張を聞いた時に、そんなことをしたら封じ込めるという概念からはほど遠くとんでもないことになる」と思ったというのを聴いて、そりゃパニックといわないだろうと思った。
 もちろん菅直人政権交代の時にこれっぱかりも俎上に載っていなかった消費税増税をいいだした張本人だし、その点では全く信頼の置けない奴だけれど、あの時点では「一人パニクった」とは思えない。
 やはり最も責任を持たなくてはならないのは、このエネルギー政策でよいと国民を騙し続けた霞ヶ関自民党政権にあることはこの際はっきりしておかなくてはならない。動いているのは既にたったの2基の原子力発電所に過ぎないけれど、54基すべてに使用済み核燃料は水の中にあるわけだし、その保管施設もある。これらが地震に遭遇して水が漏れてしまったら、もうそれでこの国はどんどん放射線に汚染されてしまうということに気がつくと、ここに暮らしているだけでもう既にパニクってしまいそうだ。子どもを抱える家庭では気が気じゃないだろう。内閣の人間は口を開くと「パニックに陥るといけないから各種情報をそのまま流さなかった」と今になって良いわけをしているけれど、この時点になって子どもを抱えた仮定をできるだけ早く避難させる施策を実行しなくてはならない。多くの自国民を悩み、迷い、苦しむ状態に放置している状態を「良き政策」と評価する人間はどこにもいないはずだ。何をグズグズしているのかと腹が立つ。
 東京電力は、多分こう考えている。「原発を動かしているのは俺たちだけじゃない。偶々偶発的に地震が起きて俺たちだけが悪者になっているだけだ」と。そのとおりで、「大丈夫」「安全だ」といって騙してきたのは東電だけではなくて、霞ヶ関も、全電力会社(除く沖縄電力)もそういってきたのだ。東電が、だから免罪されるわけではなくて、他の電力企業も同じように追求されなくてはならないのだ。
 このままずるずるにしていたらみんなが忘れるわけじゃないのだ。