ほぼ足りてまだ欲 その先

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「野球少年」

 私が子どもの頃、近所のガキが集まったら何をするかといったら概ね野球だった。野球といったって大した野球じゃない。軟式庭球のボールのようなゴムまりをごろごろと転がして、それをバットに見立てた棒ではじいて走り出すゴロベースだったし、人数がいないんだから三塁なんてなくて、一塁、二塁とホームの三角ベースボールで、これを三角ベースと呼んだ。みんなで列を作って片方の靴をずるずるさせてラインを引き、草をむしってきてベースの場所に固めてベースとした。つまり、ゴムまり一個があれば野球になった。
 もう少し大きくなると、今度はこのゴムまりをワンバウンドさせてこれを打つという高級な「ワンバン野球」になる。これはゴムまりを回転させると弾んでから曲がる。カーブの登場となる。私の年代では信ちゃんが初めにカーブを投げた。尊敬されていた。顔はまずいがカーブは上手かった。もうちょっと上になって、初めて直接キャッチャーにノーバウンドで投げる野球になった。それでもゴムまりだったからボール一つで野球になった。それが小学校3年ぐらいからもう少し堅い、けれどやっぱりゴムのボールになった。まだ軟球になっていない。4年生になって清水の学校に転校してみるとそこはもうソフトボールになっていた。なにしろ場所がいくらでもあったからだ。そのあたりからついて行けなくなってしまったような気がする。ごまかし野球の間だけが私がいっちょまえに参加できる野球だったのだ。
 どうも私の人生では、野球だけでなくて、何でもそんな感じだったような気がする。つまり、本格的なレベルには何もかも到達しなかった、ということだ。仕事も、語学力も、調べ物も、スポーツは何もかも、釣りも、なにもかもだ。ま、その辺の人生というものはこんなものだろう。誰も彼もが何かに秀でているわけがない。そんなもんだ。