ほぼ足りてまだ欲 その先

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 まずはこの記事。

【藤森かもめ、山田明宏】2020年夏季五輪の招致を目指す東京都が、前回16年五輪招致で支出した費用の経理書類をめぐり、保存期間内の8事業計約18億円分の文書を保存していなかったことがわかった。朝日新聞の情報公開請求に、都は「紛失した」と説明している。
 文書がなくなった事業では、都議会で「金額が業者の言いなりではないか」との指摘があった。だが、具体的な内訳を示す経理書類がないと事業内容の検証ができない。今回の紛失は、2020年五輪の招致機運にも影響が出そうだ。
 2006~2009年度の都の招致活動費に関するすべての文書の開示請求に対し、都は(1)事業の支出名目や支払総額、契約時期を示す「契約台帳」(2)事業の詳細を記した「仕様書」や「内訳書」などの経理書類一式を開示した。
 「契約台帳」には621事業、計46億1275万円が記されていた一方、「仕様書」などの経理書類一式は515事業、計25億7236万円分しかなかった。都の文書管理規則は、支出6千万円以上の事業の保存期限が5年間、300万円以上は3年間と定めるが、規則に反し、保存すべき経理書類一式が8事業計18億540万円分でなかった。
 8事業は、国際オリンピック委員会(IOC)に提出する計画書「申請ファイル」作成委託費(2007年度、6億9889万円)や、IOC評価委員会訪問対応の準備委託費(2008年度、5億150万円)など。高額の事業は競争入札でなく、都が特定のノウハウを持つ業者と結ぶ「特命随意契約」で、契約先は大手広告会社の電通と大手旅行会社JTBのグループ企業だった。
 都スポーツ振興局は「書類はまとめて都庁内の棚に保管しているが、紛失した。外部に持ち出したことはなく、なぜ無くなったか分からない」と話す。高額支出に集中したことも「分からない」としている。
 2016年招致で都はオリンピック招致委への25億円の補助金のほか75億円を支出した。契約台帳の記載分は都の単独支出で、招致委との共同事業に関する文書は今回開示しなかったという。
 電通広報1部は「書類は全て都側へ提出した。コメントをする立場にない」、JTBグループ広報室も「都側に全ての経理書類を提出している。我々が管理する立場にないのでコメントできない」としている。
■巨額明細、やぶの中
 2016年の東京五輪招致をめぐり、東京都の支出内容を示す公文書がなくなっていた。紛失した文書は高額な支出が目立っている。都議会で過剰支出への疑念も出ていた前回の五輪招致。かつて長野五輪招致で帳簿紛失が問題となったが、都のずさんな管理を批判する声があがる。
 2016年夏季五輪の東京開催をめざし、計画概要をまとめた「申請ファイル」。メーンスタジアムを東京湾臨海部に設け、31の競技会場を使い「半径8キロ圏内のコンパクトな大会」をコンセプトに盛り込んだ。A4判50ページ。都は2008年1月、国際オリンピック委員会IOC)に提出した。
 都が開示した契約台帳によると、申請ファイルなどの作成委託にかかった費用は6億9889万円。大手広告会社の電通に特命随意契約で発注した。一方、事業の詳細を示す「仕様書」や「内訳書」「請求書」は「見つからなかった」(都スポーツ振興局)とする。
 内訳書などでは具体的な支出内容が記されている。IOCの最終選考に向けて都が発注した「立候補ファイル作成業務委託契約」の「内訳書」では、「人件費」「地図の作成費」「冊子の製版費」など15項目にわたって支出内容が示された。契約台帳だけでは、個別の支出内訳が不明のままだ。
 申請ファイルなどをめぐっては、2008年12月の都議会オリンピック・パラリンピック招致特別委で「当初予算の2.7倍に膨れているが、年度内に2倍3倍になる例は聞いたことがない」との指摘が出た。
 文書保存期限をすぎているが、経理書類がなく支出の妥当性がわからない事例もある。
 東京マラソンのイベントで五輪招致ムードを盛り上げようと、都は2006年度、ゴール地点でPRコーナーを設置する「東京マラソン関連イベント事業」をした。大会当日、テントにテーブルを置き、スタッフがパンフレットやグッズを配ったという。
 情報公開請求で開示された「契約台帳」では、特命随意契約電通スポーツパートナーズに計3084万円を支出した。一方、2020年五輪招致に向けて11年度に実施した同じ事業では、一般競争入札で都内のイベント会社が295万円で契約した。イベント会社は「都の指示でPRコーナーを設置したが、十分できた」と話す。
 契約額の違いについて、都スポーツ振興局は「2006年度の経理書類一切が無いので分からない」と話す。電通広報1部も、具体的な業務内容は「都からの受託業務で答える立場にない」とコメントした。
■長野では故意に処分
 1998年開催の長野冬季五輪をめぐっては、長野県や長野市でつくる「招致委員会」の1989年度から3年間の支出19億5千万円の会計帳簿がなくなっていたことが1993年、長野地裁の調査で分かった。地裁は、県交付金の返還訴訟を起こした市民団体の調査嘱託を受けて調べていた。紛失した文書は、公金や企業協賛金からの資金の支出だった。
 2000年、選挙公約に会計帳簿問題の真相究明を掲げた田中康夫知事が当選。2004年に弁護士らからなる調査委員会を設置し、関係者の聴取や内部資料の調査を始めた。調査委は2005年、「帳簿の故意の処分があった。住民監査請求を受け、隠蔽(いんぺい)する必要があった」と認定。支出のうち約9千万円が使途不明金だったとの調査報告を発表した。
 田中知事は、2005年12月の県議会で、招致委の会長だった吉村午良・前知事に対し、損害賠償請求を検討する方針を示したが、最終的に請求しなかった。県によると、招致委は任意団体だったため、職員の処分もなかった。
■「あり得ない紛失」
 〈元会計検査院局長の有川博・日本大教授(公共政策)の話〉 長野五輪の招致委は任意団体だったが、自治体がこれだけ巨額な支出書類を紛失したことは聞いたことがなく問題だ。書類の一部の欠落ならまだしも、保存期間内に特定の資料を丸ごと無くすことはあり得ない。都は紛失の経緯の検証だけでなく、使途不明金の有無や都税の使い道の適切さを調べ、説明する責任がある。このままでは2020年の招致活動への国民の理解を得るのも難しくなる。(朝日新聞2012年10月21日08時01分)

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 とかくオリンピックがらみとなると経理書類はなくなることになっているらしい。この記事は多分朝日のスクープで、だからこそこれだけ詳しく長野五輪にさかのぼって説明してあるんだろう。まさか東京都が長野県から指導を受けて「そんなものはなくしちゃいなさい」とアドヴァイスをして貰ったからとは思わないけれど、これではひょっとしたらそうだったのかも知れない。電通にしてもJTBにしても提出してしまった書類だからコメントのしようがないといっているけれど、そんなバカな話はないのであって、一体どこの会社が公的機関に提出した書類の写しを手元に控えとして持っていない会社があるだろうか。それこそ商取引上の常識であって、それではもしものことがあって、支払った金額の中から返却しろという理不尽な請求があった時に、これこの通りの書類が残っているんだからそれは認められないという主張だって出来ない。
 その辺のアルバイトを雇った領収書の話じゃないんだから。これは大変大きな問題で、必要とあらば都庁を家宅捜査する必要があるくらいの話だ。
 朝日新聞がこの記事を日曜日に掲載した理由はなんだろうか。なぜ、金曜日の朝刊で書いて、元不良作家の記者会見に臨まなかったのか。ここにも新たな疑問がある。この週末に都だけでなく、電通JTBも多分関連書類を処分していることだろう。

追記:驚愕の逆転打

 今日になってこんな記事が朝日新聞ウェブ版に掲載された。驚き桃の木である。(こちら

 2016年五輪招致で東京都が支出した費用の経理書類をめぐり、保存期間内の8事業約18億円分について都が朝日新聞の情報公開請求に紛失したと説明していた問題で、都は21日、記者会見を開き、「文書が見つかった」と発表した。
 都スポーツ振興局の松永竜太招致推進部長は「情報公開の請求期限では探しきれなかった。申し訳ない」と述べた。5月の情報公開請求に対し、都は8月、経理書類を開示したが、8事業の文書は不存在としていた。招致推進課長や招致調整担当課長は紛失したと説明していた。都の情報公開制度への姿勢が問われる。
 都によると、担当職員が19日夜から都庁内の書庫を調査。21日午後3時までに8事業の経理書類が見つかった。朝日新聞は19日、文書問題を都に取材した。開示請求当時は、職員が書庫で見つけられなかったという。松永部長は「隠す意図はなかった」と述べた。
 見つかった書類で契約金額が最も高い「申請ファイル作成委託費」(6億9889万円)は「ファイルの背表紙にファイル名が書かれておらず、当初見つけられなかった」と説明した。
 都は開示請求に対し、事業の支出名目などを示す契約台帳と、事業の詳細を示す仕様書などの経理書類を公開した。

 これが報道機関ではなかったら、そのまま頬っかぶりをしたということになるのだろうか。