ほぼ足りてまだ欲 その先

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唱歌

兎おいし かの山、小鮒釣りし かの川
夢は今も めぐりて 忘れがたき ふるさと

「ふるさと」という歌だ。一体いつこの歌を習ったのかもう覚えちゃいないのだけれど、多分小学校ではないかという気がする。この歌を唄うチャンスは随分なくなった。歌うチャンスがあってもあんまり歌いたくない。どうして歌いたくないのかというと、なぜだか知らないけれど、この歌を唄うと泣けそうになってしまって詰まってしまうのだ。ジャズやポップスだったら「うるさい!」といわれるほどの大きな声で歌うのを常としている私がこの歌は歌えない。
 この歌で思い起こす風景というのがあって、それは静岡の新静岡と新清水を結んでいる静岡鉄道に柚木という駅がある。後ろに自動車学校があった。そこに小さな白いコンクリート造りの二階建ての校舎が建っていた。その裏にはボロボロの木造の校舎があって、私はこの校舎に一年間通っていた。次の長沼という駅には護国神社があってその間はずっと田んぼだった。そしてその後ろ、北側にはまるで古墳のような小山が立っていて、西風を遮って冬でも暖かい場所だった。
 あのあたりがこの歌に正にぴったりで、その上まだ中学一年で小学生の延長線上でしかなかった私は友達と一緒に学校の帰りにその田んぼの畦で本当に小鮒を追いかけてそれを空き缶に入れてうちに持って帰って池に放した。
 特に外国でこの歌を聴くと、どうしても詰まってしまって歌えないのだ。