ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 天気予報がいっていたことが正に起きている。午前遅くから綿のようなひらひらした雪が風に吹かれて降りしきり、これはもはや吹雪というべきではないのかという状況になっている。
 こういう雪が降ると判で押したように思い出すことがある。それはもう50年ほども昔のことで、高校受験の年だ。私は都立高校を受けて、3点ほどたらずに一次志望校を滑った。「雪だから滑った?」という話じゃない。で、当時の都立高校は学区の受験生全員に点数順位をつけて、男枠(そんなものがあったのだ)の全定員数の中に入っていればどこかに行けたのだ。(良い制度だよなぁ)。で次の行き先を探してたどり着いたのが自分が入った高校で、元は高等女学校。古い、まるで復興校舎というような三階建ての校舎に張り出された二次志望合格者(その学校の残った定員数から外れるとここも落ちてしまって浪人するか私立に行くことになる)の張り出しがこんな雪の日だった。
 今はとても素晴らしい時代であの1963年2月の天候を検索することができる。それで調べると、東京に雪が降ったのは2月3日であることがわかる。今でも思い出せるのはそれまで降りたことのない国電の駅で降りて、坂道を不案内のままだらだらと下り、私鉄の踏切を越え、町工場の並ぶ街並みを高校に近づけども、およそ灰色ばかりの風景で、古めかしい校門をくぐるとすぐにまるで遺跡のような講堂があって、校庭とは名ばかりの小さな土の庭があった。自分の番号を確認して書類を貰ってから傘に自分を隠すようにして家に帰った。落ちぶれたという気分に降りしきる雪がより気分をおとしめた。
 2月3日といえば節分である。そういえば数年前の節分は東京で激しい雪が降ったことがある。