ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

ビッグ・イシュー#209

 先週の水曜日に京橋の交差点にさしかかると、いつものように赤いキャップを被って右手に「ビッグ・イシュー」の最新号を掲げた大柄なおじさんが立っていたので百円玉を三つ取り出して一部戴いた。表紙はリンカーンで、多分あの映画とタイアップだなと思ったら案の定でスピルバーグダニエル・デイ=ルイスのインタビューだった。
 ところがこの号にはチラシが挟まれていた。非常に珍しいことだ。なんだろうと思ったら東田直樹の「風になる」という本の宣伝で、ビッグ・イシューを売っている人が持っているという。これまで連載されていた「自閉症の僕が生きていく風景」を単行本にしたものなんだそうだ。
 いつもこのおじさんから買っているのだけれど、とうとうこのおじさんが私のことを覚えて下さったようで、「いつまでも寒いですねぇ」という言葉をかけてくれた。こっちは暖かい環境を好きなだけ使っているが、このおじさんこそどんな環境で暮らしているのか、気になる。信号が青になって歩き出すと後ろで「ありがとうございましたぁ〜」という声が聞こえたのだけれど、私にいってくれたのか、他の人にいっておられたのか、振り返る勇気がなかった。
 「私の分岐点」がクリエイティブ・ディレクターの「マエキタ ミヤコ」さんなのだけれど、これを読むと彼女もまた学生時代にバックパックを背負って中国からチベットから歩いていたというのだ。どうもこのルートが人間を造り出すルートなのかも知れないなぁ。あのルートを歩いて大手商社に就職したあいつは今どうしているのだろうか。