ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

お稽古

 私は習いものというものを殆どしたことがなかった。子どもの頃、誰が言い出したのか知らないけれど(つまり自分で行くといったのか、元小学校の先生だったおふくろがそうしたのか知らない)、幼稚園の頃には絵を描きに日曜日の度に妙蓮寺の池の横を歩いていって果物だとか、花瓶だとかを描いていた。全くなんの足しにもなっていない。習字も習いに行って、最初に「大小」と書かされたことを覚えている。朱色の墨(あれは墨というのかね?)で直されたのを覚えているけれど、はなはだ気に入らなかった。「お前は下手だ」といわれているような気がした。それは家から歩いて10分もかからない、なんだかしもた屋のような建物で開かれていた。今の私の手書き文字のどこにも影響を及ぼしていない。最も影響を及ぼしているのは中学の時からしきりに切っていたガリ版だろう。算盤だって稽古にいっていたことがある。あれだって、一体何を考えて始めたのか知らないけれど、あっという間に行かなくなったはずだ。それっきりで算盤は大の苦手だ。
 それから先、これっぽっちもそうした稽古らしい稽古にいったことがない。小唄も、踊りもなんにも先生についてやったことがない。
 それがここ一年ほど、歌の稽古に毎週水曜日に新宿まで通っている。こんなに長いこと稽古事が続いたのは前にも先にもこれっきりだ。なんでこれが続くようになったのかといったら、それがジャズの歌の稽古だからだ。そうか、こういう事なら続くんだと今になってわかった。
 昨日と来週は「My One And Only Love」という歌で、ずっと前からこの曲は聴いたことがあるけれど、なんという歌なのか知らなかったのは他の曲と一緒だ。人前でたったの2回歌うだけなんだけれど、そのためには家でいろいろなプロの歌をYouTubeで探し出して練習するから、それがとっても楽しい。今の時代ならではの話で、昔だったらどこかで誰かの音源を探し出したとしても、それを入手するのは大変だったはずだ。本当に良い時代になった。