ほぼ足りてまだ欲 その先

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逆転

 文化大革命の頃、多くの中国文化が「革命」という名の下に破壊されてしまい、価値観が崩壊した。原始共産主義が誤った方向に行くと、全員が知的能力を払拭することが良いことになって、身体的能力と物理的存在のみが人を評価する尺度となってしまうのは、あの頃の中国だけではなくて、そろそろ人々の記憶から消え去ろうとしているカンボジアポルポト政権の愚挙でも手痛い目を見た。
 あの頃の中国からは金になるなら海外に売り飛ばして来たものがいくらもあって、書画骨董の類も、その作品だけでなくて、道具類にまで及んできた。
 例えば硯や水入れ、墨に至るまでもどんどん中国から売り出されてきた、それもこちらから見たら歴史的な価値のあるものまでも。もちろん二束三文だった。
 それが今になって、金を持つに至った中国人たちが目覚めてきた。そうだ、あれはいい値段がしてしかも芸術的価値がなくなることはないのだと。
 この辺の話も実にかつての日本人と全く瓜二つである。日本人も海外に流失していった日本の文化の産物をバブルの時期に買い戻し、揚げ句の果てに何十億もする世界の絵画を趣味でもないのに買いあさるようになり、濡れ手に粟で儲けた即席画廊がバブルの崩壊と共に虚しく消えていった。
 今や中国人は自分たちがむげなく売り払ったものを大枚払って取り戻しにかかっている。本当にその価値がわかっているのかどうか、それはまた20-30年したらわかるだろう。それを私は目の当たりにすることは多分ないだろう。