ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

降りられるかしら

 地下鉄に乗っていたら横に大お婆さんと小お婆さんが乗ってきた。大お婆さんは小柄だけれど歳が上で、小お婆さんは顔も身体も大柄だけれど、歳は若い。親子にしては歳が近すぎる。しかし、大お婆さんの方がしっかりしていて、切符を取り出して「これは2時1分出発だけれど、ひょっとするとその前の1時台に乗れるかも知れないから」と難しいことを小お婆さんに説明する。
 そのうち乗換駅からやけにたくさんの乗客が乗ってきて、それまで立つ人もちらほらだった車内が満員になった。大お婆さんは「次で降りるのよね?あたしは降りたことがないから降りられるのかしらねぇ」といっていたので、「私も次で降りますから大丈夫ですよ」と声をかけた。
 降りる段になったら、案の定この地下鉄に乗り慣れない連中が出口を塞いでいる。「降ろしておくれ!」と声をかけて三人でぞろぞろと降りる。続いて降りてきた二人が「ありがとうございました」とお礼を言ってくれる。
 本当は日本はそういう国だった。