ほぼ足りてまだ欲 その先

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異常

 政府は内閣官房のホームページで、特定秘密保護法に関する有識者会議「情報保全諮問会議」(座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長)の初会合の議事要旨を公開した。自由な議論を妨げる恐れがあるとの理由で、誰が発言したかは非公開。内容も政府の判断で大幅に少なくしたため、議論の詳しい中身は分からず、密室性の高さが際立っている。 (横山大輔)(東京新聞2014年1月30日 朝刊)

 公開された要旨はこちら。(PDF)
 安倍晋三発言の中に「国会での審議の過程で、「恣意的な秘密指定が行われる」、「知る権利 が損なわれる」などの懸念の声があったが、そのようなことは断じてな い。」という国会での質疑でも繰り返された言葉がある。私はこうした発言がその場限りのことであることをこれまでの経験で十分知っている。その時が来たらなんだかんだと云って誤魔化すのはいつもの手段だ。
 そして彼は「明確 な運用基準、しっかりとした外部のチェック体制を導入し、これまで曖昧であった行政による秘密の取扱いに、客観性と透明性を確保 しなければならない」という。そういう傍から議事録すら透明性を確保しないのだから、その論理の矛盾に気がついてすらいないということになるではないか。
 続けて渡邉恒雄が「治安維持法の復活であると一部のマスコミや、本法の反対者が声
高に主張しているが、治安維持法の下での特高警察及び憲兵による恐怖政治を実体験した最後の世代が自分である。治安維持法は、広範な拡大解釈 の余地を残す悪法であったが、特定秘密保護法は極めて明確で、二重、三 重に拡大解釈の濫用を縛ってある」と発言したことになっている。最後の世代がこれを繋いでいくことになるとは実に情けない。
 今後の進め方について「議事録及び議事要旨を作成し、議事要旨については、委員に確認後、公表する。議事録については、発言者名入りで作成し、開示請求があった場合には、情報公開法に基づき政府が対応する」となっているところを見ると開示請求をしないと公開しない。公開するのは要旨だけにするけれど「情報公開法に基づいて対応」するのだから、その全容が公開されるとは限らない。むしろ「法に基づいて」公開されないという解釈がなされる可能性の方が強い。
 実はこれは公文書保存という観点からいうと終戦直後の公文書焼却と同等な意味を持つといってもあながち間違いではない。これは歴史の抹殺行為に近い。今戦時中の歴史を振り返る上で大きく障害になっているのは公文書がこの国に残されている資料だけでは解明できないという点にある。殆どの研究者、ジャーナリストは他国の公文書館で史実を探す始末である。
 歴史を残さない内閣を持つ、そしてそんな体制に戻ってしまうことの意味を考える。
 こんな事では森担当大臣がいう「今後も様々な機会で、国民の誤解、それから御懸念の払拭に努めてまいりたい」が心底から出ている言葉とは思えない。