ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

備え

 35年前に米国ユタ州Salt Lake Cityという街で2.5ヶ月間のホームステイをしていた時に知ったことの一つは、モルモンの家庭は必ず食料庫を持っていて孤立してもしばらくは生きていける程度の食糧を備えていたことだった。そして缶詰や乾き物を古い物から消費しては新たに補充していくのだった。つまり、日頃は家の中にある一番古い物を食べているわけである。当時は冷戦真っ盛りだったし、テヘランの米国大使館が占拠されてしまった直後であったけれど、私は、そんな備えをしなくてはならないような戦争になるようなわけがないだろうと高を括っていたから、なんでそんなに古い物を喰い続けなきゃならんのだよと思っていた。
 スイスのチューリッヒから半時間ほど電車でいったところの街につれあいの姪っ子が住んでいる。彼女たちの住まいはその街の駅から循環バスでいく新興住宅地だ。二階建ての長屋で10軒ほどが繋がっている。このコンパウンドには全戸に地下に倉庫が割り当てられているのだけれど、その倉庫という奴は、実は一朝ことがあれば、住民全員が中に入って分厚い扉をとじ、中に貯蔵している食糧で堪え忍ぶのだというのだ。なんでそんな設備がついているところを選んだんだと聞くと、新しい住居には設置が要求されているんだというのである。
 わが神国にあってはそんな時には必ずや神風が吹いてお守り下さるのだからそんなことをする必要もなく、無駄に資産を死蔵する必要がない。尤も政府行政は真剣に救い出してくれるという気持ちはなさそうなので、今度の大雪災害で見るように、山奥に暮らしておられる方々はご自分で準備をされているらしい。むしろ危ないのは都会に住んでいてどうにかなると思っている連中なんだろう。いざとなったらスーパーやコンビニの棚は空になる。それで行政は何をしているのかと思ったら天ぷらを食っている。