ほぼ足りてまだ欲 その先

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バス満員

 東北大学の入学試験で、受験生についてくる親たちが予想外の数に上ったために仙台駅から大学へ行くバスに乗りきれず、とうとう試験開始時間を遅らせたという出来事があったという。
 今では入学式や卒業式に親がついてくるのが当たり前のようになっている。
 私が退職してから入学した大学の入学式では大講堂の二階が父兄席になっていて、私が一階の入り口から入ろうとしたら、大学の職員が「ご父兄ですか?」と聞いた。「いえ、入学生です」といったら、社会人入学枠が始まった年だったので職員は直ぐに了解した。その大学は入学定員が少ないので、入学生はひとりひとり名前を呼ばれて、「はいっ!」と返事をして立つことになっている。私の名前が呼ばれて立った時に二階では「え〜っ」という声が響いたんだそうだ。
 翌年、その大学から自分がかつて卒業した大学の三年生に編入した。その時の入学式では、入り口でそういわれるのは覚悟していたので、一階の入り口の職員に近づいていって自分から「編入です!」といって入った。こうなると、慣れすぎである。
 その学部の卒業式では、会場に入ろうとすると顔なじみの職員がいて、私の横でわざわざ「ご父兄の皆様は二階です!」と大声を張り上げた。
 それくらいに入学式や卒業式に親がわんさとやってくる。「出資者が出ておかしくないだろう」といわれる。「社会人になる門出だ」ともいわれる。なるほどいろいろな理由がつくものだと感心する。「社会人になる門出」っていったら、例えば会社に入る式典ではどうするのかといったら、そんなところにやってくる親すらいるらしい。事ここにいたってはもう呆れてものがいえない。
 そういう時代なんだと思って諦めるしかない。大学院の学位授与式にフィアンセなる男を伴って現れた振り袖の女子に至ってはもう絶句だった。来ても良いから、公式の場に並んで座るな。と思った爺だった。