ほぼ足りてまだ欲 その先

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研数学館

 今は財団法人研数学館となっている。その始まりは1897年に設立された私塾だったのだそうだ。水道橋の建物は1929年に建てられたものだというのだから、もう90年以上前の建物だということだ。1941年に専門学校になったのが、戦後1955年に予備校になった。ここで私立高校かなんかに移行しないで予備校になったというのが珍しい。新刊といっていた校舎が建ったのが1960年だというのだから、私が浪人して通った1966年にはもう「新館」という雰囲気は薄れていた。古い方の地下に食堂があったのを落ち込んで予備校の授業を聴きに行き始めたときは気がつかなかった。必ずカレーの匂いがしていた。なんだか昼飯まで予備校で食べるのがイヤで、良くお茶の水や神保町までいったり、そのまま友達の下宿へいって昼を作って食べたりしていた。当時、駿台予備校だけが予備校のクセに入試があり、燈台を滑った奴らぐらいしか受からなかった。
 もちろん私たちの年代は団塊の世代だから、ここで予備校もグンと枠を広げて儲けに走ったわけで、その筆頭が代々木ゼミナールだった。あそこは原宿に真新しい校舎を建てて大々的に滑った連中を吸収した。
 そう考えると、研数は実に地味だった。確かに教室はぎゅうぎゅうだけれど、代ゼミ原宿のようにちゃらちゃらしていなかった。地方から来ている浪人も多くて、地味だった。あの地味な連中はその後一体どうしたんだろうと今になってみると想い出す。
 2000年に予備校撤退、理学研究者支援活動に専念することになったという沿革を見ると、実に慎重、且つまともである。本来はこういう団体が学校法人を運営するべきなんだろうなぁ。