ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

留守

 二日間留守にしていた。37年前を遡る、ノスタルジック・ツアーで静岡・清水に行っていた。
 行きはちょっと急いでいたので東海道新幹線のこだまに乗るべくラッシュアワーの中東京駅へ。静岡まで指定席を駅の自販機で買ったら6000円以上する。現役時代は出張旅費が会社から出ていたから全く気になんてしていなかったけれど、引退してただの人になってみると、この新幹線の料金は安かぁない。そして久しぶりに乗った新幹線は必要以上に速く走っているような気がする。もうその走りッぷりは気が狂ったかのような印象がある。何もそんなに自暴自棄にでも陥ったかの如き速度で、最後尾の車両なんぞは左右にブレブレながらかの如く走らんでも良いじゃないか、と。現役時代には全く感じなかったというのに。
 帰りは東海道線の鈍行を乗り継いで帰ってきた。3200円ほどだった。しかし、先輩のお話によると、JRの高速バスだったら、2000円ちょっとでおわるそうだ。
 ノルウェー人母・娘3人をレンタカーに乗せて日本平ホテルに。つい先日ここのホテルは建て替えられたそうで、驚くほどの最新鋭なホテルになっていて様変わりだった。しかし清水の街を見下ろし、霊峰(ってこれだけの呼称だろうか?)富士を見るには最もふさわしいという景色は全く変わっていない。余りにも美しすぎてまるで絵はがきを見ているかのようだ。
 彼らは39年ほど前から37年前々くらいまで三保で暮らしていた。緑内障を患っていた夫が派遣されていたからで、娘二人は幼稚園に入るか入らないかの年齢で、帰る時には姉妹とも日本語も話すことができていたが、今やもう全く想い出さないという。しかしながら、宿舎跡傍で猫を見つけた時に、その母親が思わず「ねこ!」と日本語でいったのには驚いた。
 夫が働いていた工場は既に全く何もなくなっていて、その跡地にソーラー発電のパネルが一面に敷き詰められていた。全員がそれを見つめて絶句した。
 3人が暮らした宿舎跡地に行ってみると、その後売られて、向かいのホテルの宿舎になっていたと聞いていたのだけれど、そのまま放り出されたままになっていて、朽ち果てたままそのまま建っていた。何もない状態を想像してやってきた親子は感無量の様子で見上げていた。
 実はここは私にとっても想い出深いところで、各国からやってくるそうした監督官が暮らしていた場所なので、しょっちゅうここに来ていた。設備が壊れたといっては呼び出され、次にどんな人が来ると管理人に説明に来たり、夏にはここの芝生の庭でBBQパーティーをした。かつて米国に親と共に行っていた人が多いこの地域のベテラン女性に頼んで管理人として住み込んで貰っていた。英語が通じたからだ。
 翌日はかつての先輩方も合流して、久能山、龍華寺、ドリーム・プラザ、久能の苺と周り解散。
 苺は「あきひめ」という種類で、これが大きくて、甘くて、いやぁ、日本の苺は本当に世界一だ。外国に行って苺を食べる気がしない。実に大きないちごの実で全長で7-8cmはありそうだ。なんでもこの時期になると育ちすぎてしまうので、一番美味しいのは1-2月なんだ、というのだけれど、いや冗談じゃない。今でも充分に甘く美味しくて、欧州で堅くて酸っぱいイメージしかないことを考えると嘘のようだ。しかしながら、どっちが良いのかと云うことになると非常に悩ましい。甘さを果物に求めてはいけないんじゃないだろうかと考えてしまう。