太平洋戦争で最初に米軍に捕虜になった日本軍人といったら、特殊潜航艇で真珠湾に侵攻した酒巻和男少尉だったことはよく知られている。海兵68期。彼以外の9名は戦死。のちに「九軍神」として取り上げられ、当時大いに士気高揚のプロパガンダに利用された。残りの一人ってなんでこの中に含まれていないのかという点について当時疑問にもたれなかったものなんだろうか。ここが不思議なところだけれど、多分みんなうすうす知ってはいたけれど、敢えてこれに触れると恐ろしいことが起きそうで黙っていたのだろうか?
で、酒巻少尉だけれど、捕虜として米軍に確保されたまま終戦を迎えている。戦後某日本一の自動車メーカーの社員として南米で活躍したというの姿によってだったのか知らないけれど、捕虜期間中の姿はあまり垣間見られなかった。しかし、元日本兵捕虜に関連した書籍を見ていくと、時として捕虜生活中の彼の姿を垣間見ることが出来る。それがどうもあまり芳しい評判ではないのはどうしてなのだろうか。それは彼が存命中には書けなかったけれど、他界された後になって忌憚なく書くことが出来るようになった、ということなのだろうか。
二世兵士 激戦の記録: 日系アメリカ人の第二次大戦 (新潮新書)
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真珠湾収容所の捕虜たち:情報将校の見た日本軍と敗戦日本 (ちくま学芸文庫)
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