「技能実習制度見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会」の報告書案がわかったと朝日新聞(2015年1月16日05時00分)が報じている。
- 送り出す国が仲介団体をきちんと認定することで悪質な仲介団体を排除し、帰国後の実習生の状況についての調査に両国が協力することを求めた。
- 政府が新設する管理機関が許可を出さなければ監理団体になれない仕組みに変え、問題があった場合は、許可を取り消す
- 不正行為があった監理団体や企業名を公表することや、人権侵害があった場合は、実習生からの求めに応じ、他の企業に移れるようにする
- 実習生が母国語で相談できる窓口を管理機関に設ける
キーワード:<外国人技能実習制度> 日本で働いて技能を学んでもらうため、最長3年まで外国人を受け入れる制度。仕事が単純な作業ではないことを条件に、繊維や食品製造、農漁業など68職種で中国やベトナム、フィリピンなどから約15万人を受け入れている。企業が単独で制度を利用する場合もあるが、中小企業の団体や商工会、農漁協などが「監理団体」となり、実習生を受け入れ、会員の企業や農家で働くことが多い。
元々この制度が発足する時の所轄官庁というのは労働省・法務省・通産省・外務省が関係していたものだから、それでなくてもそうなのに、だぁ〜れも責任をとる気もなく、とにかく言葉は別として、日本で稼ぎたい外国人労働者を表から入れたら、最賃法やら、社会保障やら、金がかかってしょうがないから、「研修生」だということにして入れちまったという、ま、有り体に言えば彼らがいなくては成り立たない日本の家内工業を半分奴隷みたいな労働環境でこき使うシステムである。
もちろん中にはまともに彼らに技能研修をさせて、それを磨くためにあと2年の実習をさせているというグッドウィル経営者もいるんだけれど、そうでない、彼らから絞るという状況が少なからず顕在化しているという点について、私たちは誤魔化して済ますことは今後に大いなる禍根を残すことになる。今頃になって、ようやくこんな事が提言されてくることにも問題はあるわけで、これも、今後の労働人口の激減を克復するための対処療法に過ぎない。
本当に人間的な処遇を施した上で、同居人としてウェルカムすることで市場の縮小をとどめるのか、あるいは、市場が縮小していくことを前提として、それに見合った国家作りをしていくのか、それが政治家に本来求められるべき事であって、うわべを装って国家を偽ることで解決できるものではないはずだ。
ところでどうして「案」の状態で朝日がこの記事を書けるのだろうか。
この懇談会は昨年の11月10日に第一回が招集され、11月25日、12月9日の三回しきゃ開かれていないのに、もう報告書なのか?如何に意味がないかがよくわかる。
例によって懇談会メンバー。技能実習制度の見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会委員名簿(敬称略・五十音順)
- 青山伸悦:日本商工会議所 理事・事務局長
- 浅井紀子:中京大学 経営学部教授
- 板垣恒子:全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会 書記次長
- 勝野龍平:全国商工会連合会 専務理事
- 小林信:全国中小企業団体中央会 労働政策部長
- 新谷信幸:日本労働組合総連合会 常任中央執行委員・総合労働局長
- 高倉明:全日本自動車産業労働組合総連合会 副会長
- 高橋進:株式会社日本総合研究所 理事長
- 多賀谷一照:獨協大学 法学部教授
- 豊島栄三郎:国公関連労働組合連合会 副委員長
- 根本勝則:日本経済団体連合会 常務理事
- 橋本陽子:学習院大学 法学部教授
- 山川隆一:東京大学大学院 法学政治学研究科教授
- 吉川精一:弁護士