ほぼ足りてまだ欲 その先

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 珍しく新潮新書のところに田川健三の名前がある新書があって(新書の棚に新書があって当たり前だという突っ込みはスルー!)珍しいことがあるもんだと手にしたら、それは「はじめて読む聖書」というタイトルなんだよね。こういう表題に田川健三を持ってくるところは並大抵ではないなと思ってぺらぺらめくったら、なんと季刊雑誌「考える人」2010年春号の特集を再編集したんだってんである。なんだか新潮社にこの種の器を提供されることに若干の違和感がないわけじゃない。 著者の水島宏明は元は北海道のテレビで、後に日本テレビに移り、ドキュメンタリーを制作したことで私は知った。生活保護、若者のホームレス化について番組を造り、カフェ難民という言葉を作り出したのは彼だといわれている。テレビ業界に愛想を尽かして退職。法政大学社会学部で教鞭を執る。彼の授業をとってみたい。一度だけ彼のレクチャーを母校で聴いたことがある。この人にはこれからも活躍して貰いたい。そうでないと益々この国は危ないんだから。 去年の11月に出ていたんだそうで、気がついていなかった。この本のハナのインタビューと、その次の志ん朝と当時のこぶ平の話が面白いの。二人とも大看板の息子な訳でしょ?だから、比較になったりしてね。じゃ、噺家になるっていった時にそれぞれの親がどうだったかなんてね。ま、芸に直接関係する話じゃないけれど、こんなところがマニアには受けるんだよなぁ。この対談は2001年7月26日で、志ん朝が他界したのはその年の10月1日だったのだそうだ。もう随分昔になってしまった。あの日、夕方大学のキャンパスから駅に向かって歩き始めたところに友人から携帯に電話があって、何かと思ったら志ん朝の訃報だった。 日本で公開されないということになったらしいアンジェリーナ・ジョリーの監督第二作「Unbroken」について乗松聡子が書いている。この映画を「反日だ」といって否定する連中の実にまぁいい加減なことに驚いているのはわたしだけじゃない。それにしてもそんな根拠のない、事実を事実として見つめることをハナから拒否した声に振り回される日本の映画界にほとほとがっかりだ。