ほぼ足りてまだ欲 その先

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おふくろ

 うちの死んだおふくろは妙なくらいに物を人にあげるマニアだった。今でも思い出すのだけれど、誰かが家に遊びに来たら、帰りがけに「ちょっと待って」といって何かごそごそやってるなぁと思うと、焼き菓子やら果物やら、缶詰とか、何か家にある物をごにょごにょと包んで「良かったらこれを持って帰って!」とやっていた。ある意味、向こうにとってそれが喜ばれる物とばかりは必ずしもなかったのかもしれない物を押しつけていた。それがなんか習い性になっていたのかもしれないけれど、その類いの物を必ずストックしていたということである。だから、死んだ後も、不思議な物が出てきたりした。一番びっくりしたのは大量なタオルだ。あんなものまで多分人にあげたりしていたのかもしれない。
 逆に私は人に物をあげるということを全くしない。元々どけちなんだろう。貰う物はなんでも貰うけれど、人に物をあげるということをしたことがない。そんなことを思いつくことすらない。会社員時代にも上司にお歳暮、お中元なんてしたことがない。会社で働くことは契約だと思っていたからだ。それほど私は家族主義からはほど遠い。
 今になって同世代だけでなく、若い世代からも、ちゃんとそうした付け届けをしていたとか、しているとか聴くと、あぁ、自分は本当に社会的な常識からほど遠かったんだなぁと痛感する。もうちょっと金儲けの足しになったかもしれないものなぁ。