ほぼ足りてまだ欲 その先

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立派

 福井地裁は14日、運転を停止している関西電力高浜原子力発電所3,4号機(福井県高浜町)の再稼働の差し止めを関電に命じる仮処分を決定した。
 樋口英明裁判長は「原子力規制委員会が策定した新規制基準は緩やかにすぎて合理性を欠き、適合しても安全性は確保されていない」とし、福井など4府県の住民9人の申し立てを認めた。再稼働を含め、原発の運転を差し止める仮処分決定は初めて。関電は決定を不服として同地裁に異議や執行停止を申し立てる。

 こんなに正しい判断を下すことができる判事がまだ残っておられたことに快哉を叫ばずにはいられない。

決定はまず原発の耐震設計の基本になる基準地震動(想定される最大規模の地震の揺れ)の数値の信頼性を検討。関電は700ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)とし、規制委も安全審査の合格証にあたる「審査書」でこれを認めた。
 決定は、2005年以降の地震のうち全国4原発で5回、想定の地震動を超えたことを重視し、「高浜の想定だけが信頼に値する根拠はない」と指摘。基準地震動は発生しうる一番大きな揺れの値ではないとする専門家の意見も挙げ、「理論面でも信頼性を失っている」とした。
 また、700ガル未満の地震でも、外部電源が断たれたり、給水ポンプが壊れたりして冷却機能が失われ、炉心損傷の危険があるとした。
 決定は新規制基準の妥当性にも言及。高浜3,4号機の脆弱性を解消するには〈1〉基準地震動の策定基準を見直し、想定を引き上げ根本的な耐震工事をする〈2〉外部電源と給水設備の耐震性を上げる――などの対策が必要だが、規制対象ではないとした。
 さらに、事故時の対応場所になる免震重要棟の設置に猶予期間があることについても「地震は人間の計画、意図とは無関係に起きる。規制方法に合理性がないのは自明」と批判。「住民らの人格権が侵害される具体的危険性がある」として差し止めの必要性があると結論付けた。

 樋口英明裁判長のこんなにわかりやすく、論理だっている判断をどうやって覆そうとするのだろうか。
 得意の「粛々」しかコメントできない官房長官にはあきれかえるばかりである。この国がまだ捨てたものではないのかもしれないという気にさせる出来事である。「原子力村」が無視しようとしてきたものを正に真っ正面から捉えた判断である。