ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

まだ生きている

 まだまだくそ暑い毎日が続く東京にわざわざ帰ってきた理由は今日、保阪正康さんのレクチャーが予定されていたからです。戦後70年の節目(半世紀でも75年でも、一世紀でもないのに、なんでこの70という数字にこだわるのかまったく理解ができていませんが)だということで、巷の本屋の店頭には様々な「あの戦争」に関わる本がやたらと出版されている上、国会では「戦争ができる国に勝手に書き換えちゃう」法案が議論されているものだから、保阪正康さんが今この時期に何をいってくれるのか、非常に興味津々で、このチャンスを逃がしてはならじと帰ってきました。
 日頃保阪さんの話がある日は地下鉄を二本乗り継いで新宿へ行く。ところが二本目の地下鉄に乗っているときに珍しく私の携帯電話が鳴った。滅多にあるこっちゃない。一体誰だろうととりだしてみたらつれあいだった。あ、これはきっと何かあって中止かも知れないなぁと、飯田橋の駅で降りた。するとあに図らんや、「保阪さんが体調が悪く中止になった」という連絡だった。暑さもさることながら保阪さんの体調は大いに心配。今日は聴衆のお爺さんやお婆さん方も欠席の人たちが多いだろうとは予想していたのだけれど。
 今日はいずれにしろ本屋に出て気になる本を持って帰るつもりだったので、そのまま地下鉄を乗り換え、東西線で(飯田橋大江戸線から東西線に乗り換えようとすると、これはまた随分歩くんだよねぇ)日本橋に出て、丸善に行く。

安倍首相の「歴史観」を問う

安倍首相の「歴史観」を問う

戦後民主主義体制は音を立てて崩れている」
 これまで様々なところで書いてきてものを集大成しているが、第4章「慰安婦問題試論」だけは書き下ろしだそうだ。
戦場体験者 沈黙の記録 (単行本)

戦場体験者 沈黙の記録 (単行本)

 保阪さんの話を聴いていると、かなりの数の元軍人、兵士を数多くインタビューしているようだ。その辺の話をいつか、集中的に聞いてみたいなぁと思っていたのだけれど、ここにこうして集中してレポートされるものが出てきた。保阪さんはかなり先を急いでいるように見える。戦争、戦場を正面から捉える姿勢には頭が下がる。
昭和天皇実録 その表と裏2

昭和天皇実録 その表と裏2

 3月に出版された(1)に続く(2)である。(以下続刊)と書いてあるので、まだまだ続くのだろうと期待。
不確かな正義――BC級戦犯裁判の軌跡

不確かな正義――BC級戦犯裁判の軌跡

 著者は2008年にみすずから「東京裁判」を出しているハワイ大の先生だけれど、びっくりするほど若い人で、当時お目にかかった時に驚いた記憶がある。保阪正康が言うように、若い研究者がどんどん出てくる。 2009年に出版された「明仁天皇裕仁天皇」の文庫版なんだけれど、「一部を加筆・修正した」と書かれると買ってしまうことになるのだ。 私は徳富蘇峰のバカヤロウとか思っていたで、この原本が出たときに決して買うまいと思っていたのだけれど、講談社学術文庫に入っているのを見ちゃったのでつい手にしてしまいましたぞ。 ひょっとすると前にも買っているかも知れないなぁ。表紙のジャン・レオン・ジェロームの「ピグマリオンとガラテア」は一度見てから、芸術家ってひょっとすると常にこういう願望を持って制作に打ち込んでいるんじゃないかと思ったことがあるものだからつい手にしてしまったら、次から次に面白い解説。西洋絵画って奴はいろいろ意味があって、この手の解説を読まないと、深まらないのがやっかいっていうのか、蘊蓄屋が跋扈してかなわんなぁ。
 日本橋まで行ったんだからというので、ついでに京橋まで歩いて、半年ぶりに三州屋銀座一丁目店で海鮮丼を食す。相変わらずの旨い刺身だったけれど、ご飯にちょっと難。おばさんもとうとう耳が遠くなってきちゃったなぁ。お客の中にはわかってないものだから小さな声で言っておばさんが聞き間違えている。