ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

喋る

 何日か前、偶に足を向けるバーで、時に出逢うお客の一人に「喋りすぎだ!」といわれたことを思い出した。そういわれたことはこの人生の中で一度や二度ではない。大体中学生の時から、担任の小林先生から「もうあと一言喋ったらなんかいってやろうと思っていると、やめるんだなぁ」といわれたことを覚えている。先輩のライブにつきあっていたら、そのうち「おまえはうるせぇんだよ」といわれて出禁になったこともある。
 その昔、ガキの頃はうちの親父に「女の腐ったみたいにべらべら喋るんじゃねぇ」といわれた。ひどいいい方だと思った。じゃ、女の腐った奴は喋って良いのかよ!と。
 昨日バスを待っていると、競馬帰りの爺さんたちが集まってきたなぁと思うと、なかにぶつぶつ、ずっと喋っている爺さんがいる。「ヤラセ競馬に嵌まる自分が情けねぇなぁ」「一週間も前からさぁ、あれだって思っていたんだから、そのままかやぁ良いのに、買えねぇ自分がいけねぇんだよなぁ」なんてしきりに競馬の反省をしているんだけれど、振り返ってみると、その爺さんは一人なのね。独り言なんて喋りじゃない訳よ。何しろず〜っと喋ってんだから。
 バスに乗ってからも、自分の目の前に座っている全然知り合いでも何でもない爺さんに、同じ様に喋っている。今の若い人たちや、私(若かぁねぇけれど)なんかだったら、(なんだ、このオヤジ!)って思って下向くか、寝たふりするか、本を開くだろうが、その喋りかけられている爺さんも、困惑しているんだけれど、ニコニコするんだなぁ。偉いなぁ、この爺さんは、と感心した。
 私も多分独り者になって残ったとしたら、これくらいのことをしないとは限らないというか、なりそうな気がするのだ。