実はわがつれあいは短大を出てから住み込みで女中をしていたことがあるのざす。結婚してからかれこれ43年を過ぎるのだけれど、その住み込んでいたのがどこなのかということを聞いたことがない。私が人形町にどうもドイツパン屋があるらしいといったら、簡単に行こうというのでどういうこと？かと思っていたら、どうやらその方面で住み込み奉公をしていたらしいのだ。住み込み先に電話をしたことはあるけれど、行ったことはなかったから、それが人形町だったとは知らなかった。
交差点からちょっと水天宮さんの方に行って左折。しばらく行けども、「角のケーキ屋さんがなくなっていてねぇ・・・」とか、「この先に魚屋があったんだけれども・・」といってなかなか停まらない。なにしろ44-5年前のことだから、そりゃ勿論建物も店も変わっていて当たり前だし、記憶も薄れてきちゃうしなぁ、といいながら、こっちは昔からあったであろう鮨家の写真なんぞをとっていた。
するとつれあいが停まっている。しかし、その前には大きな10数階建てのマンションが建っていて、どう見たって片鱗すら残っちゃいない建物だ。すると、この建物の右端2-3間分がその住み込みしていた家の部分だという。どうしてわかるんだと聞いたら、筋向かいの古い事務所のような数階建ての建物がそのうちが経営していた会社のビルだった、建物は全然変わっていないという。それに隣に建っているジュエルやさんは、確かに当時からあって、自分はここで金の指輪を作って貰った覚えがあるというのだ。実はその奉公先はその後（いつ頃のことか知らないが）会社をたたんで引っ越したと聞いていた。
そのあたりから明治座方面にかけては近辺に花街があったこともあって、和装小物屋さん、呉服屋さんが結構あって、嫁入りに当たって着物も作ったことがあるんだという。その嫁入り先ってのがこの私だったわけだが、まったく知らない。ま、そりゃそうだ。
このあたりは今ではたくさん周辺にオフィスビルが建っているから、昼のランチ時とでもなると、そんな勤め人がどっとランチに出てくるらしくてランチやさんには事欠かない。なにやら敷居の高いお店からごくごく大衆向き、フレンチからすき焼き、回転寿司、立ち食い蕎麦まで各種取りそろっている中、夜はごくごく大衆的な呑み屋んだろうという定食屋でチキンフライ定食を食べる。
結局ドイツパン屋は全くのガセネタで、空振りだったが、浅草橋まで歩いてコミュニティバスで帰ってくる。
本日10,504歩。
