ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 昨日から祭が始まっています。昔は町会の神酒所に据えられたスピーカーからお囃子が流れてくると、浮き足だったものです。何人も友達がやってきて、みんなで袢纏を着て、神輿についてあちこち歩いたものでした。土曜日にはその格好のまま、銀座の行きつけのバーにまで出張っていったものでした。若かったんですねぇ。
 今の町会に移ってからは祭は同じようにやってくるんだけれど、反社会的組織の皆さんが大手を振っている町会なので、まったく出ていかなくなりましたねぇ。尤も、もう神輿に入るような気力もありません。
 いわれてみるとそうなんですが、かつては今のように神輿に取り付く担ぎ手はいなくって、当時は神輿を出すのが大変でした。土曜日のお昼に各町会の神輿に御魂入れをするために集まるわけですが、これに行って帰ってくるのに難儀をしたくらいです。棒に入っていても交代する人がいないんです。これは結構辛いものがあります。終いに声も出なくなって、ただ揺すっているだけです。覇気がないっちゃありゃしない。
 そんな時期に、個々の町会にその種の人たちが入り込んだって訳です。だから、こんな時代になっても排除できない。「頼んできたのはそっちだろ!」って訳です。
 古くからここに住んでいる人たちの話を聞くと、あっちの家も、こっちの家もその類いの人たちだったんだけれど、今はもう代が替わってみんな堅気なんだけれどねぇといいます。じゃ、なんで未だにあの世界の人たちがいるんだろうと思うと、あっちはもはや商売になっちゃっているんだそうです。田舎から担ぎに来る人たちにその会の袢纏を有料で貸すんだそうです。その袢纏では町会の神輿には手が出せませんから、自分たちの神輿を持ってきちゃいます。よそから来ている連中はそんな事情を知りませんから、お金を出してきているんだから「何が悪いの?」と思っています。周囲の人たちは「この野郎!」と思ってるんだなんて知りもしません。温度が全然違っちゃっているつう訳です。
 こんな人たちがいる町会ばかりではありませんけれど、年に一度のお祭りにこの種の人たちが入り込みやすいのはいずこも同じようです。
 この時とばかり彫り物をした連中が、褌姿でこれ見よがしに自分たちの神輿に乗って見せます。(レンタルして)自分たちが持ってきた神輿には神様の魂は入っていませんからどんなに土足で上がっても大丈夫だって訳でしょうけれど、よそから見物にきた人たちは「わぁ、いなせだねぇ〜!」なんて喜んでみています。しかし、地元の人たちは「バカヤロウだ!」と思っています。多分、この連中の中にもなんで神輿に乗ってはいけないのか知らない連中はたくさんいることでしょう。昔は二階から神輿を見下ろしちゃいけないと教わったくらいですが、今や周りはみんな集合住宅ですから、そんなことを言っちゃいられません。
 温泉や銭湯で彫り物をした連中を排除するのは外国人観光客を増やす上で如何なものかということを云う人がいますが、それを緩めてしまうと一番喜ぶのは誰かといったら、そういう連中なのです。そんな実情も知らずに外国からの観光客のためを強調して主張するのは、間違っているというのは、それこそ日本の文化を忘れてしまっているってことなんですよねぇ。