歳をとると思い出話って奴は往々にして自慢大会になってしまう。それはまぁ、いってみれば当たり前で、良い記憶だけしか自分の頭の中に残っていないってわけではないけれど、人前で喋るときに良い記憶しか喋らない。大失敗とか、大悲惨話とか、そういうものを人前で喋る人はかなり限られてる。匿名でならともかく。
だから、戦争中にやった悲惨なことや残酷なことを自分から話する人はほとんどいない。だからといって、そんな事実はなかったと断定するのは間違っている。
私は相当にひねくれているから、例えばかつてそこそこ売れたタレントだとか、多くの人の賞賛を得ている人、なんてのがする思い出話ってのが年々嫌いになってきている。往々にしてそれが自慢話になるからでもある。普通の人は「へぇ〜、そりゃ凄いね」と聞くところなのに、私は（だからなんなんだよ）と思ってしまう。
5年に一度多くの友人を集めてパーティーを開いている人が今年もそれをやるといっているのだけれど、これまでみんなでわぁわぁと、やれあいつに唄わせよう、こいつに演奏させようといって盛り上がっていたものを今年は自分たちの演奏だけにするといっているのを聞いて、なんでだろうと不思議でしょうがない。それはもはやパーティーじゃなくて演奏会なのだ。それだったら求めるレベルがぐっと上がってしまうではないか。パーティーでなら許されるものが演奏会では許されなくなる。
