ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

一番ヶ瀬康子

 私の手元に大量な「思想の科学」のバックナンバーがある。
 なんでそんなものを持っているのかというと、今を去ること10数年前のこと。当時在籍していた大学の図書館で廃棄本が出た。出たといっても不定期的に学校が各所に散らばっていた図書館の蔵書の中から重複するものを廃棄するらしくて、気がつくととんでもないものが混ざっていたりするので、油断がならない。それでブラブラとみていたら、比較的古い、60年代の「思想の科学」を半年分まとめて合本にしたものがいくつもでていて、ガバッと自分のものにした。若い学生さんが興味を示すとはとても思えなかったので、そこにあったものは全部がめた。
 それに味をしめて、何年か経ってからまた廃棄本の棚に行ったらもはやそんなに美味しいものにはありつけなかった。その上、現役の学生を優先しろと(誰かが見ていたのかも知れないなぁ)と書かれていて、卒業生のためにやってんじゃないといわれた。それはまたずいぶんな意見だ。学生が興味を持たないかもしれないじゃないか・・卒業生だって在籍当時の学費の中から図書館の費用を負担したはずだ・・・なんぞとぶつぶついってそれっきりだ。
 久しぶりにとりだしてみると、当時の紙だから非常に弱くなっていて、もはやこれの頁をめくっていたらボロボロとなりそうな予感がしたので、丁寧に一枚一枚はがしてデジタル化することにした。
 そうすると、大掃除の畳の下から出てきた新聞を懐かしく読んだ昔のように、読んでしまう。1967年7月号に博士号をとったばかりの一番ヶ瀬康子先生の書いたものが掲載されていた。「現代日本の婦人の地位」というタイトル。昭和35(1960)年の神戸地裁で妻がへそくりで買ったピアノは夫の給料の一部だからそのピアノは夫のものだという判決が出ていたそうだ。今となったら笑止千万だけれど、当時の生活科学調査会の調査で女性に「あなたは今の仕事をどう考えていますか」という質問に対してなんと92.7%が「結婚までの腰掛け的なものである」と答えている。半世紀を超えて世の中はこんなに変わったのだ。
 しかし、日本の首相の女性に対する考え方は労働力が不足するから社会に出てきて日本の経済を支えて頂戴という発想でしかない。